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5歳の息子が写真家に教えてくれた知識や技術より大切な写真のこと 「カメラじゃなくて写真をやるんだよ」

集英社オンライン / 2024年2月9日 18時1分

写真は、技術がうまいからいい写真であるとは限らない。それはなぜか。即完売の超人気ワークショップを主宰する写真家・幡野広志氏が5歳の息子に教わった写真の真実を、著書『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』から一部抜粋・再構成してお届けする。カメラの性能や専門的な知識より、もっとも重要なこととは。

#1 #2 #3

カメラじゃなくて写真をやる

写真をはじめる人ってカメラのことを気にするけど、カメラなんかなんでも良くて、それよりレンズのことを気にしたほうがいいし、カメラのこと気にするならパソコンのことを気にしたほうがいいんですよ。

写真ってカメラで撮るから誤解しがちだけど、カメラは基本的になんでもいいんですからね。料理人とおなじ包丁使ってもおなじようにはできないし、包丁が長くても短くても料理人はできちゃうでしょ。カメラも一緒だからね。



プロとおなじカメラを使ったらおなじような写真が撮れると思ってしまう人も、そう誤解させる広告をうってるカメラメーカーもあるけど、プロとおなじ機材を使ったとき余計に差がはっきり出るからね。カメラには上限があるから、どんなにカメラで頑張っても無駄だよ。

カメラをやるんじゃなくて写真をやるの。カメラをはじめるんじゃなくて、写真をはじめるの。趣味がカメラじゃないの、写真を趣味にするの。

カメラなんかなんでもいいし、露出だの構図だのピントだのなんだのって勉強しなくても写真はできますからね。「写ルンです」でみんな写真撮れるじゃん。カメラがむずかしいんじゃなくて、勝手にむずかしくして写真のハードル上げてるだけだよ。写真もカメラもむずかしくしようと思ったら、研究者や開発者レベルまでむずかしくできるからね。

この写真はうちの妻が撮った息子の写真です。ピントは合ってないけど、ぼくは妻が撮った写真でいちばん好きです。カメラのことをなんも知らないお母さんが撮った写真って感じ。すごくいい。料理でいえば家庭料理みたいなものだよね。

保育園の先生に見せてあげたくて

次の写真は息子が5歳のときに撮った花火大会の写真です。中判のデジタルカメラで2㎏ちかくあって子どもには重かったはずです。手持ちで撮影していたからブレてるんだけど、この写真をプリントしてほしいと子どもにお願いされました。

理由を聞くと保育園の先生に見せてあげたくて撮ったそうです。写真は誰かに伝えたくて撮ります。誰かに何かを伝えたいから撮ります。ぼくは写真の本質を5歳の息子から教わったような気持ちになりました。

写真はかんたんです。誰でも撮れる。むずかしくしようと思ったらどこまでもむずかしくできるけど、かんたんにしようと思ったらどこまでもかんたんにできます。まずはかんたんにいきましょう。


文・写真/幡野広志 (すべて書籍『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より)

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真(ポプラ社)

幡野広志

2023/11/15

1650円

271ページ

ISBN:

978-4591179307

ほとんどの人に写真の才能がある。でも、多くの人が写真を誤解している――即完売の大人気ワークショップをベースに幡野広志が書き下ろす、できれば触れたくなかった「写真の話」。いい写真とうまい写真はちがう。だめな写真とへたな写真も同じ意味じゃない。うまくてだめな写真もあるし、ヘタだけどいい写真もある。「いい写真」を知り、「いい写真」を撮ろう。写真の価値観が変わる、写真初心者必読の1冊。

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