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ガンマGTPの数値を下げたけりゃ「健康診断の〇日前から断酒」しなさい! 200だった数値はどこまで下がる!?

集英社オンライン / 2024年4月18日 8時0分

衝撃! 尿酸値が高いとアルツハイマー病を含む認知症のリスクが低くなる! だが筋トレ民は「要注意」な理由〉から続く

酒飲みたちが居酒屋で始めるガンマGTPの数値自慢。誇れたものではないのだが、実際に数値を下げるためには数日間の断酒程度では一切効果がないらしい。書籍『健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目』(講談社+α新書)より一部抜粋・再構成し、酒飲みたちへ健康診断前の心得を伝授する。

AST・ALT

健診での肝機能検査の代表は、AST、ALT、γ-GTPの3項目です。この3つは職場健診や特定健診の必須項目に入っています。

ASTは以前はGOT、ALTはGPTと呼ばれていましたが、国際的な名称変更が行われ、今のようになりました。しかし変わったのは名称だけですから、以前の数字をそのまま参考にすることができます。



この2つは肝細胞に多く含まれる酵素で、肝臓が障害を受けると、血中に大量に溶けだしてきます。そこで逆に、血液中の濃度を測定すれば、肝臓の状態が推定できるというわけです。
 

両者の違いは、それらを多く含んでいる臓器の違いです。ALTは肝臓や胆管だけに多く存在するので、もし血中濃度が上昇してきたら、ほぼ確実にそれらの臓器に問題があることが分かります。一方、ASTは心筋や赤血球中にも多く存在するため、肝臓以外の病気でも上昇することがあります。

日本人間ドック学会の基準値は、AST、ALTとも表22のようになっています。ただし病院や検査会社によっては異なる基準値を使っていることがあります。御自身の健診結果を見て確認してください。

AST、ALTとも30U/L(国際単位)以下なら正常と判定されますが、51以上になると「異常」とされます。しかし両方とも100以下なら、多くの医者はあまりうるさいことは言わないでしょう。大抵は経過観察や食事指導、飲酒制限などで済むはずです。

AST、ALTともに100を超えてくると、肝臓に問題ありという判断になります。慢性肝炎や脂肪肝などの可能性が出てきます。その場合、ALTがASTより高ければ、アルコール性肝炎かもしれません。

また両方とも300を超えると、入院となりそうです。さらに500を超えると急性肝炎の可能性が強くなり、かなり危険な状況と言えます。ただし健診の結果が届くより先に、具合が悪くなって病院に行くことになるでしょう。

ASTのみが高いと、心臓が悪い可能性が出てきます。心不全や心筋梗塞で心筋が壊れると、ASTが血中に出てくるからです。

実際、ASTは心臓病の診断指標のひとつになっています。もちろん本当に心筋梗塞だったら、悠長に健診を受けるどころではありません。しかし心不全の初期など、自覚症状がほとんど出ていない段階なら、ASTがきっかけで見つかることもあり得ます。
 

表23は令和2年度(2020年度)の、東京都の特定健診の結果です。ASTは男女とも、異常(51以上)が少なく、大半のひとが基準範囲に入っています。

ALTについては、男性で若い年代ほど、異常の割合が高くなっています。しかし年齢とともに、徐々に減っているところが注目です。だんだん酒量が減るからか、肥満が解消されるからか、理由は分かりません。しかし現役世代でALTが高かったとしても、歳を取れば下がってくると思えば気が楽です。

なおASTの血中濃度は、肝臓を酷使しなければ10〜20時間で、ALTは40〜50時間で半減すると言われています。これらの数値が高いのは飲酒が原因だという自覚をお持ちのかたは、健診の3日前から断酒しておけば、意外といい結果が出るかもしれません。

γ‐GTP

肝機能の健診項目の1つに、γ-GTPがあります。中高年サラリーマンのあいだでは「ガンマ」と言うだけで通じるほど、お馴染みです。酒の席で、数値が高いひとがガンマ自慢を始めることもよくあり、尿酸値(痛風)と共に、中高年の病気自慢のネタになっています。

正式な名称は「γ‐グルタミルトランスペプチダーゼ」と呼ばれる酵素で、肝臓の解毒作用に関わっています。アルコールの大量摂取で肝細胞が傷つくと、血液中に大量に溶けだしてきて、検査値(血中濃度)が上昇してきます。そのため飲酒量のバロメーターと目されているのです。

日本人間ドック学会の基準値は、表24のようになっています。

表25に令和2年度(2020年度)の、東京都の特定健診の結果を載せました。

男性では60代前半まで、10人に1人かそれ以上のひとが、101を超えています。平均値で見ても、40代後半から60代前半までは要注意レベルです。

しかし70代に入ると、101を超えるひとの割合も平均値も、下がってきます。年齢とともに酒量が減るからだと思われます。

女性で101を超えるひとはわずかですし、平均値も50を大きく下回っています。それだけ女性の大酒飲みは少ないということでしょう。
 

ガンマ自慢のひとの中には、200以上とか、500を超えたという猛者たちがいますが、臨床的には500を超えると完全に危険水域です。すぐにでも治療を始めないと、後戻りできなくなるかもしれません。

しかし飲酒だけでなく、慢性肝炎や肝硬変、薬物による肝障害でも上昇してきます。1回のガンマ値だけでは原因を特定できませんが、断酒して下がれば、ほぼ間違いなく酒が原因です。

ガンマの半減期は約2週間と言われています。たとえばガンマが200だったとすると、2週間断酒すれば100前後に下がるはずです。もし下がらなかったら、別の原因が考えられるため、より詳しい検査が必要です。

逆に酒飲みのひとが健診前の1日や2日、禁酒したからといって、数値が良くなることはほとんど期待できません。健診のせめて2週間前、できれば4週間前から禁酒に励むべきです。そうすれば基準範囲にかなり近づけることができるでしょう。

ただしそれができるくらいなら、最初からガンマで引っかかることはなさそうです。高いと分かっていても、飲むのを我慢できない。それがガンマに対する酒飲みのジレンマです。


図/書籍『健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目』より
写真/shutterstock

健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目(講談社+α新書)

永田宏
健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目(講談社+α新書)
2024/3/20
990円(税込)
200ページ
ISBN: 978-4065351932
その再検査、本当に必要? 血圧・糖尿・BMI・尿酸値・白血球数・眼底など、項目別に検査結果の正しい見方を教えます。 高血圧の基準値はこうして作られた/赤血球・白血球・血小板数が同時に増えたら/人工透析が嫌なら「e-GFR」に注目/サウナ-と尿酸値の深い関係/空腹時血糖値、本当に注意すべきはいくつからか/クレアチニン異常と筋トレ/胃がん検診はバリウムか、内視鏡か……。 健康診断の結果を受けて、異常を示す「*」マークの数に一喜一憂しているあなた。その数値にどんな意味があるか知っていますか? 基準値を少しでも上回ったら再検査を受けたほうがいい項目もあれば、半数以上の人が引っ掛かるので気にしなくてもいい項目もある。 健康診断の結果の正しい読み方を解説します。 第1章 身体計測:体重・身長・BMI・脂肪 第2章 血圧と心肺機能:血圧・低血圧・心電図検査・胸部レントゲン写真・呼吸器検査 第3章 血算検査:貧血3項目と赤血球恒数・多血・白血球数・血小板数 第4章 糖尿病:空腹時血糖値・HbA1c 第5章 脂質:中性脂肪(TG)・HDL・LDLコレステロール・LDL/HDLの役割とコレステロールの基準値・総コレステロール値とLH比 第6章 肝機能:AST・ALT・γ-GTP・総ビリルビン・HBs抗原検査・HCV抗体検査 第7章 腎機能:尿酸・尿潜血・尿蛋白・クレアチン・eGFR(推算糸球体濾過) 第8章 痛風と関節リウマチ:尿酸値・リウマチ因子(RF) 第9章 視力と聴力:視力検査・眼底検査・聴力検査 第10章 がん検診:健診と検診・大腸がん検診・胃がん検診・ピロリ菌感染とABC検査・肺がん検診・乳がん検診・HBOCと遺伝子検査・子宮がん検診・前立腺がん検診

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