宮沢議員“パパ活不倫辞職”が「ポスト川勝」をめぐる静岡知事選にも飛び火! 補選も苦戦の自民にさらなる逆風…「岸田おろし」はさらに加速か
集英社オンライン / 2024年4月26日 7時0分
自民党の宮沢博行衆院議員がパパ活などの女性問題発覚で、電撃辞職した。宮沢氏の地元である静岡県では来月、静岡県知事選の投開票がされるが、この問題の影響は不可避。岸田政権は選挙戦略の見直しも迫られており、単なる一議員のスキャンダルでは済まされない事態となっている。
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静岡県知事選で漂う暗雲
「不祥事が重なり議員を辞職する決意をした。改めて国民のみなさまに深くお詫びを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
4月23日、宮沢氏は衆院議長に辞職願を提出した後、報道陣の前で沈痛な面持ちで語り、深々と頭を下げた。
この翌日、週刊文春が宮沢氏について、コロナ禍の2021年に妻子とは別の女性と同棲していたことや、出会い系サイトで知り合った女性にお金を払って性行為をしていたことなどを明らかにした記事を掲載。
安倍派に所属し、裏金問題が発覚した際には派閥から口止めがあったことを暴露。「安倍派を介錯する」という名言も残した宮沢氏だが、最終的には自身が週刊誌から介錯される形となった。
そして、この宮沢氏の不祥事は、ただ一議員のスキャンダルでは済まない事態に陥っている。
というのも、宮沢氏の地元は静岡県で、5月には川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選が予定されているからだ。地元から選出された国会議員の電撃辞職は、知事選において自民党に大きな逆風になるのではないかと見られている。
「静岡は裏金問題で離党勧告を受けた安倍派座長の塩谷立衆院議員の地元でもあり、もともと知事選は逆風が予見されていた。そこに宮沢氏の不祥事も重なった。自民党の静岡県連はまさに泣きっ面に蜂の状態だ」(永田町関係者)
静岡県知事選をめぐっては、すでに元副知事の大村慎一氏と前浜松市長の鈴木康友氏が立候補を表明。
自民党静岡県連は大村氏の推薦を決定して党本部に上申、一方で立憲民主党や国民民主党は鈴木氏の推薦を決め、与野党対決の構図になろうとしている。
自民党が劣勢の大村氏を応援する理由
そうしたなか、永田町では自民と立憲がそれぞれ独自に実施した情勢調査の結果が出回っている。筆者が入手した自民の情勢調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、29.3ポイントの大村氏に対して大幅にリード。立憲の調査でも傾向は同じで、鈴木氏28.2ポイントに対し、大村氏20.9ポイントとなっている。
鈴木氏は衆議院議員や市長を務めていた経験もあり、知名度がある分、大村氏よりも支持を伸ばしているようだ。
しかし、自民党は劣勢の大村氏を応援する方向で調整している。その背景には複雑な静岡県における政財界の事情がある。
静岡県に本社を構える有名企業といえば、浜松市にある自動車メーカーのスズキであるが、そこで最高経営責任者などを務めた鈴木修相談役は川勝知事の後ろ盾として活動。
静岡県がリニア中央新幹線の着工に反対を続けているのも、表向きはトンネル工事が地下水に影響を与え、大井川の水量が減少してしまうからだとされているが、実際のところは静岡を素通りするリニアに鈴木修氏が強く反対しているという事情が大きい。
この鈴木修氏はこれまで鈴木康友氏の支援もしてきたため、鈴木康友氏が次の知事となれば、鈴木修氏が今後も県政に強い影響を及ぼし続けるのではないかと懸念する政財界関係者は多い。
さらに、スズキの本社が浜松市で、鈴木康友氏が前浜松市長であることから、”浜松色”が強く出すぎていて、他地域が反発する可能性もある。特に静岡市は静岡大学と浜松医科大学の法人統合、大学再編をめぐって浜松市と対立してきており、両者の溝は深い。
自民党はこうした事情を勘案して、鈴木修氏の影響力に懸念を示している県内の財界関係者や、浜松市以外の地域の票をまとめ上げることができれば、大村氏が逆転可能だと考えたようだ。
実際に自民党静岡県連の増田享大幹事長は大村氏を支援する理由について「(元副知事として)全県的な視点で課題を捉えている」と語っている。
早期解散となれば負けられない前哨戦となるが…
だが、こうした構図作りも宮沢氏のスキャンダルによって台無しとなってしまった。
ただでさえ裏金問題の逆風を抱えている自民に、宮沢氏の不祥事も有権者の投票行動に影響を与えれば、多くの無党派層の離反を招きかねない。自民党関係者からは「推薦を出して敗れるくらいなら、党本部としては推薦を見送ったほうがよいのではないか」との声もあがり始めている。
静岡県連は23日に自民党の茂木敏充幹事長に大村氏の推薦を上申したが、茂木幹事長は「党本部として大村氏を推薦するかは相談しながら考える」と述べるにとどめたといい、雲ゆきは怪しい状態だ。
党本部が静岡県知事選の対応に慎重なのは、ここで与野党対決に敗れれば、岸田首相の解散戦略に影響を及ぼしかねないからだ。
9月には自民党総裁選が予定されており、「岸田おろし」を警戒して岸田首相が早期解散に踏み切るという観測も根強いが、現在、苦戦が伝えられている4月28日投開票の衆院3補選・島根1区に続いて、静岡県知事選でも負けを重ねれば、一気に岸田文雄首相の求心力は低下しかねない。
一方で現在行われている東京15区補選でも、小池百合子都知事が擁立した乙武洋匡候補の推薦を、自民党が急きょ見送ったことは記憶に新しい。
解散や総裁選に向けた自民党内のさまざまな思惑、そこに鈴木修氏の影響力をめぐる政財界の動きや、静岡市と浜松市の対立などが重なり、知事選に向けた情勢は非常に混沌としている。
地域の課題、国政の課題について静岡県民はどんな判断を下すのか。静岡県知事選は1ヶ月後の5月26日に迫っている。
取材・文/宮原健太
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