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とある星雲の人には見えない別の姿。赤外線の波長で捉えた“へび座”の輝線星雲

sorae.jp / 2023年1月5日 21時37分

VISTA望遠鏡の高感度赤外線カメラ「VIRCAM」で撮影された輝線星雲「シャープレス2-54」

【▲ VISTA望遠鏡の高感度赤外線カメラ「VIRCAM」で撮影された輝線星雲「シャープレス2-54」(Credit: ESO/VVVX)】

こちらは「へび座」の方向約6000光年先にある輝線星雲「シャープレス2-54」(Sharpless 2-54、Sh2-54)です。無数の星で埋め尽くされた視野の中央に、淡く輝く星雲が漂っているように見えます。

シャープレス2-54は、若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放つHII(エイチツー)領域でもあります。水素ガスが放つ光は赤いので、可視光線で観測したHII領域は赤く見えるのですが、画像のシャープレス2-54はそのようには見えず、淡い紫色をしています。

実はこの画像、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台の「VISTA望遠鏡」に搭載されている高感度赤外線カメラ「VIRCAM」で取得されたデータ(赤外線のフィルター3種類を使用)をもとに作成されました。人の目は赤外線を捉えることができないため、データは赤外線の波長別に青・緑・赤で着色されています。本稿の最後に可視光線で捉えたシャープレス2-54の画像を掲載していますが、同じ星雲でも可視光線と赤外線では見え方が異なることがわかります。

可視光線は星雲の塵に吸収されやすい一方で、赤外線は塵に妨げられにくいため、ガスと塵でできた分子雲の中で新しい星が誕生する時に何が起きているのかを調べたり、星雲の向こう側にある天体を探したりするための観測を行うことができます。ESOによると、VISTA望遠鏡のVIRCAMによるシャープレス2-54の観測は、星の進化に関する重要なデータを得るための複数年に渡るサーベイプロジェクト「VVVX」の一環として行われたとのことです。

冒頭の画像はESOから2023年1月4日付で公開されています。

【▲ パラナル天文台の「VLTサーベイ望遠鏡」で撮影されたシャープレス2-54(Credit: ESO)】

【▲ パラナル天文台の「VLTサーベイ望遠鏡」で撮影されたシャープレス2-54(Credit: ESO)】

 

Source

Image Credit: ESO/VVVX ESO - Serpent in the sky captured with ESO telescope

文/松村武宏

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