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太陽に一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」で新たにスーパーアースを発見

sorae.jp / 2020年1月21日 23時27分

「プロキシマ・ケンタウリ」(ケンタウルス座アルファ星C)は太陽に一番近い恒星であり、地球サイズの太陽系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」が周回していることが知られています。今回、プロキシマ・ケンタウリに2つ目の系外惑星候補が見つかったとする研究成果が発表されました。

■プロキシマ・ケンタウリcは地球より大きなスーパーアース

赤色矮星「プロキシマ・ケンタウリ」(中央)を周回する「プロキシマ・ケンタウリc」(右)と「プロキシマ・ケンタウリb」(左)のイメージ図(Credit: Lorenzo Santinelli)

Mario Damasso氏(トリノ天文台、イタリア)らの研究チームは、ラ・シヤ天文台の高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)やパラナル天文台の超大型望遠鏡(VLT)を使って、およそ4.22光年先にあるプロキシマ・ケンタウリの動きを詳細に観測しました。

研究チームは、系外惑星の公転にともなって主星(プロキシマ・ケンタウリ)が前後左右へと円を描くようにわずかにふらつく様子を分析する「視線速度法」を用いることで、すでに発見されているプロキシマ・ケンタウリbとは別の系外惑星によるものとみられる動きを検出することに成功しました。

新たに見つかった「プロキシマ・ケンタウリc」は、地球のおよそ4~8倍の質量を持つ「スーパーアース」とみられており、プロキシマ・ケンタウリから1.5天文単位ほど離れた軌道を約5.2年かけて一周していると分析されています。

赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリの質量は太陽のおよそ1割程度と軽く、表面温度も摂氏2800度ほど(太陽の表面は摂氏6000度ほど)と低い恒星です。そのため、プロキシマ・ケンタウリcの表面温度はかなり低く、摂氏マイナス220~250度程度とみられています。

■スーパーアースの形成と進化に知見をもたらすか

従来の惑星形成理論では、地球よりも大きな岩石質の惑星であるスーパーアースは「雪線」(※)と呼ばれる領域で形成されやすいと考えられてきました。しかし、プロキシマ・ケンタウリcの軌道は惑星が形成された当時の雪線よりもずっと外側にあるため、雪線で誕生したとすれば、その後に現在の軌道まで移動してきたことになります。

※…スノーラインとも。主星からある程度離れた、水分子が氷になり始める距離。

ところが、プロキシマ・ケンタウリcの軌道に影響を及ぼせそうな系外惑星は、プロキシマ・ケンタウリでは見つかっていません。そのような系外惑星がまだ見つかっていないだけなのか、それともスーパーアースが雪線で形成されやすいとする理論に修正が必要なのか。研究チームは、プロキシマ・ケンタウリcの発見によって新たな課題が提示されたとしています。

なお、プロキシマ・ケンタウリcは公転周期が長く、存在を確認するにはさらに数年程度の追加観測が必要となります。また、プロキシマ・ケンタウリから十分離れた軌道を描いていることから、次世代の宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡によってプロキシマ・ケンタウリcを直接観測できる可能性も示されています。

 

Image Credit: Lorenzo Santinelli
Source: Sky & Telescope
文/松村武宏

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