「エクソマーズ」の打ち上げは2022年に延期。新型コロナウイルスの影響か
sorae.jp / 2020年3月14日 10時16分
欧州宇宙機関(ESA)とロシアのロスコスモスは3月12日、今年7月~8月に予定されていた欧露共同の火星探査計画「エクソマーズ」二度目のミッションの打ち上げを、2022年に延期すると発表しました。新たな打ち上げ時期は2022年の8月~10月(ESA)あるいは8月~9月(ロスコスモス)が予定されています。
今年打ち上げを目指していたエクソマーズは、2016年に打ち上げられた周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」(現在も運用中)と着陸機「スキアパレッリ」(着陸失敗)に続く二度目の欧露共同探査計画です。探査機は定点観測を担う地表プラットフォーム「カザチョク」と探査車「ロザリンド・フランクリン」から構成されていて、火星の地下最大2mの深さからサンプルを採取し、生命の痕跡を探すことが予定されています。
打ち上げ延期の理由として、探査機に対するさらなる試験の必要性と、疫学的な状況の悪化にともなう移動の制限が挙げられています。発表では明言されていませんが、疫学的な状況とは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を指しているものと思われます。
エクソマーズを巡っては昨年7月、パラシュートの試験中に予期せぬ損傷が見つかっていました。その後は昨年12月にNASAのジェット推進研究所(JPL)において高速でパラシュートを引き出す試験が実施されており、当初の打ち上げ予定が4か月後に迫った今月にも、オレゴン州において上空からの落下試験が控えているとされています。
地球と火星の位置関係の都合上、探査機を火星に送り込むのに最適な時期(なるべく少ない燃料で火星に到着できるタイミング)は、おおむね2年ごとに訪れます。今年の夏はその時期にあたり、NASAの火星探査車「パーセベランス」も今年の7月~8月にかけて打ち上げられる予定です。この時期を逃すと、次に最適なタイミングが来るまで2年間待たなければなりません。
エクソマーズに限らず、ミッションの成功に向けて準備を整えるにあたり、時には打ち上げ延期もやむを得ない選択です。なお、パラシュートの試験と並行して、観測機器の搭載や熱真空試験なども順調に進められているとのことです。
Image Credit: ESA/ATG medialab
Source: ESA / ROSCOSMOS
文/松村武宏
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