バイデン大統領の執務室に展示された「月の石」
sorae.jp / 2021年1月29日 10時54分
こちらの画像に写っている、ケースにおさめられた暗い色合いの石。この石は、これまで12人しか降り立った者がいない月面から持ち帰られた「月の石」のひとつです。
アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、「Lunar Sample 76015,143」と呼ばれるこの石(332グラム)は1972年12月に打ち上げられた「アポロ17号」の乗組員がタウルス=リットロウ谷にある一つの大きな岩から採取したもので、約39億年前に月の「雨の海」を形成した大規模な天体衝突に関連したサンプルとされています。
この石は今、ホワイトハウスの大統領執務室に置かれています。これはアメリカ合衆国の第46代大統領に選ばれたジョー・バイデン氏の要請によるもので、バイデン大統領の就任当日である現地時間1月20日から大統領執務室に展示されているとのことです。
現在アメリカでは月面有人探査計画「アルテミス」の準備がNASAを中心に進められています。今年2021年の11月には宇宙飛行士を月周辺へと運ぶ新型宇宙船「オリオン」および新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」の無人飛行試験にあたる「アルテミス1」ミッションが実施される予定。アルテミス計画最初の有人月面探査が行われる「アルテミス3」ミッションの実施は、バイデン大統領にとって1期目の終わりも近い2024年が予定されています。
アポロ17号はアポロ計画最後のミッションであり、バイデン氏が上院議員に初当選した選挙が行われた頃のミッションでもあります。バイデン大統領にとってこの石は、アメリカの偉業として語り継がれているアポロ計画以来およそ半世紀ぶりにアメリカの宇宙飛行士を月へと降り立たせるアルテミス計画を進める上で、大きな意味を持つものかもしれません。
関連:人類が再び月を目指す「アルテミス計画」を分かりやすく解説
Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏
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