128億8000万年前の初期の宇宙に存在した巨大な銀河から「水」の存在を検出
sorae.jp / 2021年12月7日 20時47分
アルマ望遠鏡は11月3日、イリノイ大学の天文学者Sreevani Jarugulaさん率いる研究チームが、アルマ望遠鏡を使った観測によって、128億8000万年ほど前の初期の宇宙に存在した巨大な銀河「SPT0311-58」において、水の存在を検出したと発表しました。研究チームでは同時に一酸化炭素の存在も検出しました。
SPT0311-58は地球から128億8000万光年ほどのところにある巨大な銀河です。言い方を変えると、128億8000万年ほど前の初期の宇宙に存在した銀河です。
この時期はちょうど宇宙の再電離の時期にあたります。
誕生後間もない宇宙はとても高温、高圧で、水素やヘリウムはプラズマ化し原子核と電子がバラバラの状態になっていました。しかし、時間が経ち、宇宙が膨張することで、温度と圧力が下がり、電子は原子核に捕えられました。いわゆる宇宙の晴れ上がりです。
ところが、その後、最初の星であるファーストスターが誕生し、最初の銀河が形成されますが、ファーストスターなどが放射する紫外線によって水素ガスは再び原子核と電子がバラバラの状態になりました。これが宇宙の再電離です。このような宇宙の再電離は、宇宙が誕生してから2~5億年の間頃に始まり、宇宙が誕生してから9億年頃には完了したと考えられています。
では、研究チームはどのようにして128億8000万年前の初期の宇宙に存在したSPT0311-58において水の存在を検出したのでしょうか?
チリは、恒星が放射する紫外線を吸収すると、遠赤外線を放射します。水分子は、このような遠赤外線を浴びると、励起し、特有の電磁波を放射します。研究チームは、高解像度を誇るアルマ望遠鏡を使って、水分子がこのようにして放射する特有の電磁波を観測したというわけです。
Jarugulaさんによれば、「宇宙の初期に存在した銀河のガスやチリについて研究することは、宇宙の初期に存在した銀河について、どれくらいの数の恒星が形成されつつあるのか、どれくらいの割合でガスが恒星の形成に使われていくのか、など様々なことを教えてくれます」とコメントしています。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S. Dagnello (NRAO)
Source: アルマ望遠鏡のプレスリリース
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)
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