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財産債務調書の意義や提出基準、加算税の軽減措置を税理士が解説

相談LINE / 2021年3月11日 19時0分

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平成27年度改正により、財産債務調書という調書制度が創設されました。これは、一定の要件を満たす個人の確定申告において提出義務が設けられているもので、自分の財産の種類や数量、価額、そして債務の金額などを記載する必要があるとされています。この調書は確定申告期限である翌年3月15日が提出期限とされています。
財産と債務を申告する、という点からも分かります通り、個人の申告は最終的には相続税の申告にも影響しますので、財産と債務を適宜把握しておくために、提出が求められているのです。

■提出者の要件

この調書ですが、すべての個人ではなく、以下の両方の要件を満たす個人について提出義務が課されています。

1 その年分の 退職所得を除く所得金額の合計額が2,000万円超であること
2 その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出時課税の対象となる財産を有していること

このため、いわゆる富裕層に当たるような人たちが対象になる調書と言えます。

なお、上記の国外転出時課税の対象となる財産とは、一定の有価証券等や一定の未決済信用取引等、そして一定の未決済デリバティブ取引に係る権利が該当するとされています。これらは、国外に転出する際、転出時に出国税の申告が必要になる資産と言われます。

■加算税の軽減措置と加重措置

財産債務調書の提出を促進するために、加算税の軽減措置という制度が設けられています。これは、財産債務調書を提出期限内に提出した場合、その調書に記載をした財産若しくは債務に係る所得税等又は財産に対する相続税の申告漏れが生じたときであっても、その財産若しくは債務に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税等について、5%軽減されるという制度です。

同様に、加算税の加重措置という制度も設けられています。これは、財産債務調書を期限内に提出しない場合や期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産若しくは債務の記載がない場合などに、その財産若しくは債務に係る所得税等の申告漏れが生じたときは、その財産若しくは債務に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税等について、5%上乗せで課税されるという制度です。

このため、適正な提出を心がけましょう。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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