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消費税節税に有効な簡易課税制度の届出を出し忘れたら?(税理士 松嶋洋)

相談LINE / 2016年2月22日 19時0分

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簡易課税など、消費税の一定の特例を受ける場合には、その受けようとする年度の前までに、所定の届出書を税務署に提出する必要があります。この届出書一枚で税金が大きく変わりますが、困ったことに適用を受けようとする年度の前までにその届出書を出し忘れる、という凡ミスが非常に多いのです。
このようなミスがあった場合の最終手段として、課税期間特例という制度があります。

■課税期間特例とは

課税期間特例は、通常1年の消費税の事業年度を、3月又は1月に変更することができるという制度です。消費税の事業年度というのがキーポイントで、法人の事業年度は1年のまま、消費税の計算期間だけを変える手続きです。

先の、消費税の届出は、正確には適用を受けようとする消費税の事業年度前までに提出すればいいため、最終手段としてこの制度を利用することができます。例えば、12月決算法人であれば、1~3月、4~6月、7~9月、10~12月、と4つの消費税の計算期間を作ることができます。このため、例えば昨年の12月に届出書を出し忘れれば、期間特例と本来提出すべきであった届出書を3月までに提出することで、4月以降適用したい特例を適用することができます。

期間特例の手続きなど、多少複雑な部分がありますので、詳細は税理士などにお尋ねください。

■期間特例のデメリット

とは言え、この期間特例には大きなデメリットがあります。本来1年に1回でいい消費税の申告書の提出が、最大で12回(1月に変更した場合)必要になります。消費税の計算は手間がかかりますので、その手間とコストは大きなデメリットでしょう。

加えて、期間特例を選択すると、最低でも2年間はその選択を継続する必要があります。届出書の提出を忘れた場合の最終手段として活用することができるものの、2年間も面倒な計算を続ける必要がありますので、そのデメリットをあらかじめ覚悟して選択しなければなりません。

■そもそも届出を忘れなければいいだけのはなし

言うまでもなく、期間特例など最終手段に頼らなければそれが一番いいのです。届出書を出し忘れるのは、ケアレスミスで防ごうと思えば誰にも防げます。困ったことに、専門家である税理士でもこのようなケアレスミスをしてしまいますので、注意しておく必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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