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「私だけが恵まれていない」オーバードーズから抜け出せず苦しんだ40代女性の過去

日刊SPA! / 2024年2月19日 8時51分

 また、お局上司も「美人に生まれたかった」「顔が残念なばっかりに損をしてきた」と普段から自身の容姿への不満を漏らしていたため、無意識に仲間意識のようなものもあったと真美さん。ところがしばらくして、そのお局上司に彼氏ができてしまう。

「すると、『私、このあと彼氏とデートなんだけど、真美さんは何か予定ある?』などと遠回しに、残業を押しつけてくるようになりました。タイムカードを押すことができるのは、労働基準法で残業がOKとなる範囲まで。しんどいだけの残業です」

◆眠れない日々を薬で解消

 そして真美さんはますます、「私だけ…」という気持ちに苛まれてしまう。連日深夜近くまで続く残業で疲労もピークとなり、眠れない夜が続くようになる。そして、睡眠導入剤などの市販薬をいろいろと試すようになっていった。

「少し量を増やすとよく眠れたり、体調がよくなって頑張れる気がしたりして、だんだんとオーバードーズへの興味が高まっていった感じです。オーバードーズするとフワフワと幸せな気分になって、残業の疲れも吹き飛び、気分の落ち込みも軽くなったと感じました」

 そして、「胃がムカムカして動悸が激しくなり、薬を飲まない間の不安感が半端ない。どんどん薬の量が増えていき、両親に突っかかり壁に穴を空け、病院も退職。救急車で胃洗浄したこともあります」という状態に。けれど真美さんは、オーバードーズをやめられなかった。

「オーバードーズしているときの、フワフワした感じや多幸感みたいなものに救われていたのだと思います。それを体感していたからか、カウンセリングや薬物療法などもうまくいきませんでした。でもある日、小さなクリニックで自分にピッタリの先生と出会ったのです」

 その先生は、真美さんの話を遮ることなくじっくりと聞いてくれ、無理に薬物療法も勧めなかった。そして、「いままでどおりの娘に戻してほしい」「早く社会復帰できるようにしてほしい」と焦る両親のことも、「ゆっくり治療していきましょう」と説得してくれたのだとか。

「いままで愛想笑いして溜め込んできた不満を先生に全部ぶちまけ、『助けて』の一言が言えずに自分を苦しめていたと自覚しました。自分にピッタリの先生や心地よく通えるクリニックを知り、少しずつ自己肯定できるようになり、気持ちも前向きになっています」

 真美さんは、「まだまだ不安に感じて薬に手を出してしまいそうになるときもあるが、自分に合う先生に出会えたことは大きかった。オーバードーズに悩んでいる人は、いろいろな相談機関や病院へ行ってみてほしいです」と話してくれた。

<文/夏川夏実>

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5

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