うつ病ニート&ひきこもりが未経験から起業、“ふたり出版社”の本が人気「読めなくても、ほんの一握りの光みたいになってくれれば」
日刊SPA! / 2024年3月4日 8時51分
小室さんは「俺たちこれからどうしよう、もう終わりだねって言い合ってた。死んだ目でゲームして、明け方の街を2人で散歩して、起きたら昼過ぎ。これのエンドレス」と泥沼のような生活だったと言う。
◆鬱のどん底から「やりたいことをやるしかない」
そんな生活の中、屋良さんの鬱は進行。「駅のホームにいると体が勝手に飛び降りようとして、柱につかまって耐えていた。27歳の誕生日くらいには、もう死んじゃうかもしれないと本気で思ってた」と希死念慮と戦う日々が続いた。
屋良さんが唯一“生きる理由”になったのが「本を作る仕事をしたい」という思いだ。「死のうかどうしようか迷っている時に、小説、短歌、詩集、エッセイ、日記など、主に文芸書に救われてきた」と言う。
そこで出版社の社員やバイトに応募するが、落ちまくった。エンタメ系の他のアルバイトに応募するも、腰まである長髪を切らなかったこともあり、ことごとく落ちたという。
「もう自分でやるしかない。やるならやりたいことをやろう」と起業を決意した。その数ヶ月前に祖父の遺産が入っていたこともあり、それも元手にしようと思ったと言う。
書籍の編集経験はなく、過去に2度だけ、ZINE(個人で作る冊子等の出版物)を友達と作ったことがあった。
小室さんも誘った。屋良さんは「この仕事ならユウヤ(小室)さんもいけるんじゃないかと、半ば強引に誘った。『大丈夫大丈夫、めちゃめちゃ不安定だけど、俺が社長だから』みたいにめっちゃ口説いた」と勧誘したと言う。
小室さんも「アサヤ(屋良さん)が出来るんならやるか」と、2人きりの出版社が立ち上がった。22年の春だった。
◆第一号の詩集は「一冊出すか、死ぬか」
起業すると、今度はプレッシャーが屋良さんを襲った。出版・起業ははじめてのことだらけで「2人で今度は仕事で遊ぼうよ、みたいにはじめたのに、精神的にやばくなって。“一冊出すか死ぬか”みたいな勢いだった」と屋良さんは振り返る。
出版第一号は、以前から勇気づけられていたバンド「ニーネ」の詩集『自分の事ができたら』。屋良さんは「装丁とか原価計算のやり方とかわかんなくてやっぱ素人だった。もう全部無視してつくったから全部売っても赤字っていうかギリギリ。しかも僕の力不足で全然売れなくて」とますます精神的に追い詰められていった。
しかし小室さんは「売れはしないだろうけど、やりたいことやれてんな。楽しくやれてるからよかったね」と楽観的に見ていたと言う。小室さん自身「小学生のころにゲームやってたような。ドキドキわくわくみたいなものがよみがえってた」と、心のリハビリになっていたようだ。
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