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うつ病ニート&ひきこもりが未経験から起業、“ふたり出版社”の本が人気「読めなくても、ほんの一握りの光みたいになってくれれば」

日刊SPA! / 2024年3月4日 8時51分

 2000部を刷った結果、「在庫が半分、1000部残った」が、最初の一冊は、屋良さんにも自信と希望を与えた

 屋良さんいわく「僕は本当にダメで、流されやすい人間。でも、あの本だけは唯一自分の意思だけ貫き通して作った。『俺、出来たよ』みたいな」と、今に至る原動力になったと言う。

◆ひきこもりが小さな書店の店長に「昔は誰とも話さなかったのに」

 昨年4月には高円寺に“書店”も立ち上げた。住宅街にあるアパートの2階の一室を使った『そぞろ書房』だ。1冊目の歌詩集はもちろん、屋良さんが個人的に作ったミニコミ、応援したいと思っているインディーズ作家たちのZINEや、2人がセレクトした流通・非流通の様々な本が並ぶ。作家やテーマごとのフェアも毎週のように行っている。

 書店の担当になった小室さんは「店は色んな人と話せるコミュニケーションの場。ひきこもりの時は誰とも話さなかったのに」と楽しさをにじませる。

 一方、書籍の編集や営業は屋良さんが行う。

 “売れない”書籍の書店営業は、屋良さんの心をさらに蝕んだ。「僕は本の内容紹介をするんですけど、ちょっと怖い感じの書店員さんは、もう『早く終わんねえかな、こいつ早く帰んねえかな』みたいな態度をあからさまに出してくる」とグチる。鬱の時の営業はつらい仕事だ。

 2冊目は短歌集『incomplete album』(著・展翅零)。これも屋良さんの“推し”作家だが、また同じような割合で在庫が残ってしまった。

 そして3冊目。2人が好きなプロ・アマのマンガ家たちに声をかけ、マンガのアンソロジー集『ザジ』を作った。今度は3000部刷って半分ほど売れたが、制作費用が高く、これも黒字にはならなかった。

 能町みね子さんなど著名な作家も参加していたことから話題にもなり、屋良さんは「賛否両論。でも批判意見だとしても、点滅社の存在をとにかく見てくれるっていうのが嬉しかった」と手ごたえを感じた。

◆鬱の人に優しい本を。『鬱の本』がバズって初ヒット

 そんな浮き沈みの中、4作目『鬱の本』を企画した。谷川俊太郎さんや町田康さん、大槻ケンヂさん、山崎ナオコーラさんなどの作家たちから、2人のSNSのフォロワーまで。“鬱の時に読みたくなる本”をテーマにした、84人によるエッセイ集だ。

 なぜこの本を作ったのか。

 屋良さんは「創業した頃からずっと、自分と似ている鬱屈や鬱を抱えている人でも読みやすい本を作りたいと思っていた。正直、僕は鬱の時には本は読めないので、そんな本は存在するのかと思っていたけれど……」と会社を作った時から鬱の人に優しい本を作りたかったと言う。

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