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夢だった仕事に就くも「AIに追い抜かれる」翻訳家の女性が抱いた未来への危機感

日刊SPA! / 2024年3月4日 15時51分

◆空港での業務にもデジタルの影響アリ

 空港でグランドスタッフとして働く大野早苗さん(仮名・40代)。主な仕事はチェックインや手荷物の受託、搭乗ゲートでの改札業務だ。

「私は接客が好きで、きれいな制服を着て搭乗ゲートでアナウンスをしたり、乗客のチェックインに携わるグランドスタッフに憧れていました。実際に自分がなることができて、日々充実したグランドスタッフ生活を送っていました」

 大野さんが入社した当時は、機械やAI、アプリケーションがそれほど普及していなかったが、最近になって自動チェックイン機や自動手荷物預け機、自動アナウンスなどが導入されるようになったという。

「グランドスタッフとしての業務が機械に奪われつつあります」と、大野さんは不安を募らせる。

 機械導入前は、チェックインカウンターに長蛇の列ができ、混雑していたため、漠然と「改善してほしいな」と感じていたのは確かだったというが、複雑な心情が入り混じる。

「人員不足対策、混雑緩和、利便性アップにはつながっていると思います。しかし、搭乗口でのきれいなアナウンスやチェックインでのスマートな対応に憧れて入社した私にとっては、少し寂しさがあります」

◆人の温かさも絶対に必要!

 そんななかでも、欠航などのイレギュラー時や援助が求められる客への対応などでは、相手に寄り添う必要があり、「人」はとても重要な役割があると、大野さんは考えている。

「機械に代わりはできないと思います。以前、チェックイン業務の際に、新婚旅行で飛行機を利用するというカップルに遭遇しました。私は、そのカップルに何かできないかと考え、メッセージカードとアレンジした搭乗証明書を作って渡したんです」

 そのカップルが「特別な思い出になった」と言いながら喜んでいる姿を見て、大野さん自身も幸せな気持ちになったという。

「こうした人間味のある対応は、機械やAIには絶対にできないことだと思います。会話のなかでお客様のニーズを引き出し、1人ひとりに合った寄り添い方ができるのが“人”なんです」

 航空業界では、今後もさらなる次世代搭乗の計画が進められており、グランドスタッフとしての仕事が少なくなるのは目に見えていると、大野さんは話す。一方で、労働環境については、コロナ禍で取り沙汰された人員削減や減給は解消され、以前の状態に戻りつつあるそうだ。

「いまのうちに、人にしかできない温かさ、安心感をお客様へ提供し、今私にできることを精一杯していこうと思います」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

―[「デジタル化」に仕事を奪われた人たち]―

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