能登半島地震で被災した動物と飼い主の今。愛猫を捜し続ける女性、ペットのために「車中泊」を選ぶ人も
日刊SPA! / 2024年3月5日 8時52分
「避難所ごとに事情が異なりますが、珠洲市でペットと共に“同伴避難”ができているのは聞き取りしたペット世帯のうち2割弱ほど。ペットがいる被災者と、そうでない人々用に部屋を分けている避難所もあれば、小規模の避難所は場所を区切れずに、同じ空間で過ごしている例もあります」
石川県獣医師会と日本レスキュー協会が連携し、てんかんや関節炎など持病のある犬の薬を遠隔で処方する取り組みも行っている。
◆“ペットと車中泊生活”を選ぶ人々も
トラブルを避けるために避難所を出て、“ペットと車中泊生活”を選ぶ人々や“見えない避難者”が多いという。
「犬が糖尿病なので車で過ごす」という家族もいる。
「『自宅にペットを残し、避難所から毎日通っている』という方もたくさんいます。飼い主さんにとって、ペットは大事な家族です。だから『家族のお世話をするのは当たり前だから』と、半壊したり歪んだりした建物にも平気で入ってしまう。愛情が先行して、“今いるのは危険な場所”という認識が欠けてしまう。それが怖いんです。こちらは話を聞きたくても、日中ご自宅に戻られてしまうと、なかなかお会いできない。このような“見えない飼い主”は、想像以上に多いです」
辻本さんは今、少しでも多くのペットを受け入れ可能な施設を増やすべく、被災地で奮闘している。
「物資の支援や、避難所での飼育環境の整備の支援と同時に、関係各所に直接交渉を続けています。被災者の方も、行政のみなさんも、心身共にギリギリの状態で、今できることを頑張っているんです」
◆聞こえないSOS。過酷な環境を選ぶ人も
「被災者は想像以上にSOSを出してくれない」と語るのは、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する、ピースワンコ・ジャパンの岸下塁さん。
団体は発災すぐに現地入りして避難所を丁寧に巡り、捜索活動や物資支援を行っている。さらにペット支援のニーズを調査し、ペットの一時預かりや、相談を受ける支援活動も続けている。
「混乱の中でペットが受け入れ可能かどうか曖昧なところも多いので、飼い主さんが自ら『周囲に迷惑はかけられない』と言って、吹きさらしの寒い玄関や軒下などでペットと過ごす例が増えています。誰に相談することなく、過酷な環境を選んでしまう」
一方的に、「ペットを連れて避難所には行けない」と思い込んでいる人も多い。「犬がいるし」と極寒の避難所の玄関で過ごす人も。
「相談なしに、最初から車中泊を選んでしまう人がかなりいます。ほかにも、機能していないコンビニの中だったり、半壊している建物などに避難したり。助けたいのに、助けられない。とてももどかしいです」
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