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焼肉食べ放題店の元経営者が明かす、注文されると“苦しい”メニュー。上・中・下の価格帯で店が一番儲かるのは

日刊SPA! / 2024年3月17日 8時54分

 新業態が一過性のブームにはならないための工夫もされており、例えば、肉の部位が50グラム単位で選べるカスタムメニューや店舗推奨メニューの組合せなど、飽きのこない仕掛けで再来店を促すなど、永続的価値の提供に努めている。

 焼肉ライクは、①誰に気兼ねすることなく、1人で焼肉を食べたいという潜在ニーズを満たしている、②あまり時間がない時でもさっと食べられる、③自分好みで、自分のペースで自分が焼いた肉を誰にも取られることなく堪能できる、④手軽な価格で焼肉をお腹一杯食べたいといったお客さんのニーズに適合させているのが人気の要因である。

 焼肉ライクの出現により、同じようなコンセプトの1人焼肉店をあちこちで見るようになった。単身者世帯の増加でさらに成長するか。

◆今後の焼肉業界の動向はどうなる?

 飲食業界は、円安・物価高・人手不足など店を取り巻く外部環境には逆風が吹いている。特に輸入牛肉に依存する焼肉食べ放題店にとっては、大きな痛手である。

 また、日本は外食慣れした人が多く、世界一、品質に対する目が厳しいからコスパ評価も手厳しい。また、今はSNSの普及で、お客さんの持つ情報量が多く、店側の情報優位性がなくなりつつある。情報武装したお客さんが多いと、店側が利益を確保する機会が減り、飲食店の営業利益率の低下を招いている。

 そういった環境の中でも、計画的な大量仕入によるスケールメリットを発揮した食材を効率よく活用し、食べ放題の品目を多さとコスパの良さを実現した店は強く、競争上の差別的優位性を確保しているようだ。

 外食業界の人手不足はかなり深刻で、省人化とDX化は、今後もさらに難しくなる人材の確保への対応策となるであろう。焼肉は調理のメイン(焼くこと)を顧客にやらせるなど職人が不要で人件費を抑制しやすい。また今は、大手焼肉チェーンの多くがタッチパネルのオーダーシステム、配膳ロボット、セルフレジを活用し、省人化投資を競い合っている状態である。

 人件費や原材料が上昇する中、できるだけ価格を抑えながら大量に集客し、効率よく食事を提供する為の手段のDX。各店が、今後のさらなる人手不足も視野に入れ、店内の無人化への競争が令和の今は激化している。お祝い事など「ハレの場」には、「焼肉でも行こうか」との声も多く、家族団欒で食事をするには最適な場所としての存在感がある。それだけに、今後の動向に目が離せない。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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