大規模特殊詐欺「ルフィ」を壊滅させた2人の女④〜闇名簿に載った「ギャル顔」の女
日刊SPA! / 2024年3月31日 15時47分
柴田千晶(画像加工は編集部による)
「ルフィ」などと名乗り、フィリピンから広域強盗事件を指示した疑いがある渡邉優樹被告(39歳)ら特殊詐欺グープの「かけ子」で、23年1月に東京・足立区で起きた強盗未遂事件で起訴された山田李沙被告(27歳)の判決公判が3月5日、東京地裁で開かれた。山田被告は「かけ子」として被害者の情報を指示役に提供したとして、強盗予備、住居侵入などの罪に問われ、懲役1年2月を言い渡した。
判決理由として「組織的かつ計画的で悪質」と指摘する一方で、「事実を認めるとともに指示役らについてもつまびらかに話している」として懲役1年6月の求刑に対して1年2月を言い渡した。
同被告は23年8月に窃盗罪で懲役3年の実刑判決を受け現在服役中だ。2月22日に行われた公判では起訴内容について「間違いありません」と認め、今後予定される、指示役とみられる渡辺被告らの裁判に「呼ばれることがあれば全面的に協力したい」と述べ、全容解明にひと役かっている。
実は、そんな山田被告とともに”幹部”と呼ばれるも、「ルフィ」ら渡邉たちの大規模特殊詐欺グループを、事実上壊滅に追い込んだ女がいる。
被害総額60億円。大規模特殊詐欺、強盗、殺人。通称「ルフィ」事件にかかわった、実行犯12人の容疑者(被告)の素顔を描いた、『「ルフィ」の子どもたち』(扶桑社)から、山田被告ともうひとりの女の素顔に迫る。
(おことわり)被疑者、被告人については現在も捜査や裁判が続いているため司法の公正な判断が待たれる。本稿においては報道上、社会的意義のあるものとして彼らについて取り上げる。なお、本文中の敬称等は略し、年齢、肩書などは原則的に事件当時のものを掲載する。
(以下、『「ルフィ」の子どもたち』より一部編集の上抜粋)
◆顔なしの女
実は取材で最も苦労したことはもうひとりの”女幹部”、柴田千晶(27歳)の顔写真を入手することだった。
柴田はむやみに顔を晒すようなSNSをやっている気配もなければ、柴田の知人にたどり着いても、一緒に写っている写真などは存在しなかった。あまりにも人間関係が“薄い”のだ。逮捕され、送検の際にも、柴田は顔を撮られることを異様に警戒していた。苦悩の果てに筆者が頼ったのは「名簿屋」だった。
都内のマンションの一室。最新型ではないノートパソコンが一台。あちらこちらに外付けのハードディスクが転がっている。ひとりでパソコンに向かう男は名簿販売を稼業にしている。いわゆるダイレクトメール用の名簿などを主に扱っている「表の名簿屋」だ。しかし、かつては「闇リスト」と呼ばれる名簿を取り扱っていた。
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