暴力団から“飛んだ”48歳のその後。流転の末、日雇い暮らしに…組の人間の追跡に怯える毎日
日刊SPA! / 2024年4月15日 15時54分
田中誠治さん(仮名)・48歳「逃げてきたはいいけど、どうしていいかわからない」
裏カジノオーナー、生活保護受給者etc…。ヤクザをやめた中高年の現在地とは?’22年末時点での全暴力団勢力約2万2400人中、50代以上が54.9%。福岡県では指定暴力団の組長や組幹部が、’22年までの5年間で47%離脱。高齢化が進む中、元ヤクザ中高年の境遇を追う。
◆長すぎたヤクザ人生の先に待っていた悲喜交々の結末
【田中誠治さん(仮名)・48歳】
東北地方の山間部に生まれた田中誠治さん(仮名)が裏社会に足を踏み入れたのは、成り行き同然だった。
「主たる産業もなく、住んでるヤツらはみんな目が死んでるような街でした。自分は働く気がなかったので高校卒業後にブラブラしていたら、地元の先輩に誘われたんです」
先輩と一緒に、裏ビデオの販売や身分証の偽造販売など小さな違法行為を繰り返していた田中さん。そんななか、いつの間にか地元の暴力団に構成員として組み入れられていたという。
シノギは「殺人以外は全部やった」。組員だった10年間に詐欺と空き巣で2回逮捕され、服役もした。最後は覚醒剤の密売に注力した。
「ある日、祖父が買いに来たのはびっくりしましたね。先輩が対応して俺は隠れてたんだけど、見つかってぶん殴られそうになって……お前が言えた立場かよって」
◆組を抜け出し、上京。だが問題を起こし……
それを機に地元に嫌気が差した田中さんはほどなく出奔。組からは「飛んだ」形だ。そして昨年、あてもないまま東京に辿りつき、ネットカフェで寝泊まりをしながら歌舞伎町に入り浸った。そこで出会った人物のツテで風俗店に勤めたが、嬢に手を出し解雇され路上生活へ。
その後、夜行バスで関西に流れ、現在は日雇い労働に従事している田中さん。労働意欲がないため、月給は9万〜10万円どまりで、簡易宿泊所代を引くと生活は貧しい。組の人間の追跡にも怯える毎日だ。
「飛んだ身分でこっちのヤクザにも入れないし、しばらくここにいるしか思いつかない」
脱会届も出していないため、元暴5年条項の対象にもならない。未来は不透明なままだ。
■元暴5年条項とは?
暴力団排除条項の一つ。暴力団を脱退しておおむね5年以内の人物を対象とした規定で、多くの自治体が採用している。
5年経過していないうちは、業界や金融機関の独自データベースや警察への照会などをもとに「反社会勢力」とみなされ、銀行口座の開設、携帯電話、クレジットカード、各種ローンの手続きなどが制限される。
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