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「2027年の開業を断念」遅々として進まないリニア問題。静岡県知事だけではない「責任の所在」

日刊SPA! / 2024年4月23日 8時51分

◆工事を中止する可能性はゼロとは言い切れない

「静岡工区の着工が認可されないから、ほかの工区も工事が進められないのだ」という意見もあるでしょう。しかし、それは静岡県も同じです。

東京―名古屋を結ぶリニアには、静岡県のみ駅が設置されません。つまり、静岡県にとってリニア開業で得られるメリットはありません。その一方で、開業後に大井川の水量が減少する可能性があることや南アルプスの環境破壊によって引き起こされる生物多様性の問題、さらには有害な重金属を含む要対策土の処理といったリスクだけを負います。

そんなデメリットしかないリニアですから、静岡県としては「他工区の工事が完了してから(もしくは完了するメドが立ってから)じゃないと工事を始めることはできない」と考えても不思議ではありません。仮に、静岡工区を着工した後に「リニアは完成しませんでした。しかし、流出した水も戻せません」では取り返しがつきません。

JR東海も莫大な費用を投じて建設を進めているのだから、途中で工事を中止することは考えづらいところです。しかし、可能性がゼロとも言い切れません。150年以上もの鉄道史の中で、用地買収を終えたのに開業しなかった路線、建設工事を始めたのに途中開業を断念した路線はたくさんあります。

◆出馬を断念した“最有力候補”

こうした静岡県を取り巻く環境を踏まえつつ、静岡県民は次の知事選に一票を投じることになります。静岡県知事選は静岡県民にしか投票できませんが、全国から注目を浴びることは確実です。

川勝知事が辞任を表明するにあたり、事前に後継を打診していたのが立憲民主党の渡辺周衆議院議員です。渡辺議員は静岡県沼津市を地盤とする政治家で、静岡県ともゆかりがあります。それだけに、出馬すれば最有力候補になったことは想像に難くありません。

渡辺議員は民主党政権時代に総務副大臣を務めていました。筆者は主に地方行政を取材しているライターのため、総務省にも足を運ぶ機会が多いのですが、民主党政権時代には副大臣を務めていた渡辺議員にも取材をする機会が何回かありました。また、立憲民主党の党大会やカコミ取材などで何度も話を聞いています。

そうした取材を通じて、筆者は渡辺議員に対して川勝知事のような強引さを感じることはありませんでした。他方で、海千山千のJR東海を相手に静岡県としての立場を貫き、意見を言えるのか? といった一抹の不安もよぎりました。

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