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「2027年の開業を断念」遅々として進まないリニア問題。静岡県知事だけではない「責任の所在」

日刊SPA! / 2024年4月23日 8時51分

◆乗り換えが発生した場合、大半の利用者は新幹線を使い続ける?

さらに考えなければならないのが、リニアが開業しても東京―大阪間の移動には必ず名古屋で乗り換えが発生することです。

乗り換えの所要時間や手間を考えると、リニアが東京―名古屋間を開業しても、東京―大阪間を移動する利用者の大半は東海道新幹線を引き続き使うことが予想されます。つまり、リニアが開業しても“のぞみ”の利用者がリニアへと遷移することはなく、リニア開業後も“のぞみ”の発着本数は大きく変化しない可能性が大きいのです。

鉄道のダイヤを決める権限は、鉄道事業者にあります。東海道新幹線なら、JR東海です。

奇しくも、今年になって京葉線のダイヤ改正を巡って、自治体と鉄道事業者の意見が対立し、大きな話題になりました。京葉線のダイヤ改正では、通勤快速全廃・朝夕に運行されていた快速をデータイムのみの運行に変更しています。

ダイヤ改正を実施したJR東日本千葉支社は、自治体から激しい反発を受けて朝の時間帯に快速2本を残すという、異例の“ダイヤ改正の見直し”を発表。それでも、千葉県や千葉市といった自治体は納得していません。

◆静岡県に対してJR東海は真摯に向き合っていたのか

リニアが開業すれば、東海道新幹線は“ひかり”中心のダイヤになり、静岡県にもリニア開業のメリットはあるとの主張は、あくまでもJR東海が“ひかり”中心のダイヤ改正を実施することを前提とした話です。

リスクだけを抱える静岡県に対して、JR東海は真摯に向き合ってきたのでしょうか? これまで、JR東海が静岡県民に真摯に向き合ってこなかった姿勢を考えると、「リニア開業後の東海道新幹線は“ひかり”中心のダイヤになり、静岡県に停車する新幹線が増えるのだから、静岡県にもリニア開業のメリッとがある」という主張を額面通りに受け止める静岡県民は多くないでしょう。

リニア問題では川勝知事の言動ばかりがクローズアップされてきましたが、JR東海の対応も同時に問われなければならないのです。

<取材・文・撮影/小川裕夫>

【小川裕夫】
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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