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賃貸物件「家賃の値上げ」に泣き寝入りしない方法。実は手厚く守られている“借主側の立場”を活かすべき

日刊SPA! / 2024年5月18日 15時52分

◆覚えておきたい考え方「継続賃料」とは

 さらに、貸主側から出される賃料は「新規賃料」がベースに考えられたものである可能性も高い。

 本来、住み続けていくなかでは「継続賃料」という考え方が存在するのだが、一般消費者には知名度が低く、不利な数字になりがちな「新規賃料」ベースで根拠が示されやすい。

「『新規賃料』とは、簡単にいえば、建物や敷地などを新規に賃貸する場合の賃料を指しており、算定手法はいろいろありますが、市場の需要と供給を加味したものといえます。一方の『継続賃料』とは、既に賃貸借契約などが存在している場合に、これを改定する際の賃料です。こちらももちろん算定手法が多数ありますが、要素として、過去の賃料や契約の経緯等も踏まえたものを指すといえるでしょう」

 ざっくりと言い換えると、「継続賃料」では「当事者間でこれまでに交わしていた金額」も考慮すべき材料となり、周囲の現在の家賃相場のみを基準としない考え方である。

 すなわち、地価や物価等が上昇して「10万円」が新規賃料としては妥当だったとしても、契約時に「6万円」であったとすれば、継続賃料において直ちに4万円増額はできないといえるのだ。

◆「妥当な賃料」をはじき出すには…

 非常に重要なキーワードであるにもかかわらず、なぜ「継続賃料」の認知度はこうも低く、家賃改定のシーンであっても俎上に上りづらいのか。

「不動産鑑定の場面で散見される専門用語であり、一般の方が厳密に区別していないであろうことがひとつ。ひいては継続賃料や新規賃料を正確に算出しようと思えば、不動産鑑定が必要になり、時間も費用もかかってしまいます。そうしたなか、貸主にとっても、資料として入手しやすいのが、他のテナント募集広告などに記載のある賃料(新規賃料)であることなどが理由に挙げられると思います」

 知らないと損する「継続賃料」。不動産鑑定で正確な数字を出すことは非現実的とはいえ、相手が提示してきた賃料の上昇率が妥当な範囲であるのかについては、簡単にアタリをつけることはできる。

 その方法とは、固定資産税と路線価の上昇率を平均し、それをさらに半分に割るだけ(*2)。固定資産税を大家に聞けない場合はやや高めの金額が出てしまうが、路線価の上昇率のみで計算してもよい。

 計算結果に不安があったり、そもそも面倒に感じたとしても、単に「継続賃料」の語とその概念を把握した上で、先方に伝えられるだけでも十分。非常に役立つ交渉カードとなること請け合いだ。

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