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賃貸物件「家賃の値上げ」に泣き寝入りしない方法。実は手厚く守られている“借主側の立場”を活かすべき

日刊SPA! / 2024年5月18日 15時52分

*2……『ダイヤモンド・ザイ9月号』(ダイヤモンド社)を参照

◆大家との交渉ではどんなカードを切るべきか

 交渉余地となりそうなものは、まだあるのだろうか。

「築年数の古い物件であれば、建物利用にあたって不便なこと、修繕が本来必要であるものが放置されている等の事情があれば、物件価値を下げうるものとして交渉の材料といえます。賃料が低額であっても、その分賃借人が賃貸人の分も修繕を負担しているなど、賃料が安いことで必ずしも得をしているわけではない事情があればその点も主張できるかと思います」

 さりとて、大家との仲をこじらせないのも重要な点。角を立てないために、工夫できることとは。

「『自分としては、●●の理由で、●万円なら負担できるのだがどうでしょうか』と、対案を示しながら協議をすればいきなり関係が悪化するということはないでしょう。このときに相手の資料や根拠が妥当でないという指摘ももちろん大事ではありますが、例えば物価高で自分の生活も苦しいので理解してほしいなど、自身にとって賃料増額は経済的負担が大きい理由などを添えるのもありかと思います」

◆追い出されないために必要な「歩み寄りの心」

 大切になるのは「歩み寄りの心」なのだ。

 それでも万が一、増額を受け入れないことによって「家賃の受け取り拒否」をされてしまったら、「弁済供託」をしなければならない。

 受け取り拒否をされている側であっても、家賃の未納状態が実質的に発生すると滞納とみなされてしまい、それが「追い出し可能な根拠」となってしまう。そこで供託によって、「家賃を払う意思はあるんです」ということを公的に示すのだ。

 専門家に依頼せずとも自力で行える手続きではあるが、「受領拒絶の実態」がないなど供託理由が存在しないと認められてしまっては供託の効力が認められないおそれがあるため、注意が必要である。

 もっとも、以上はすべて「普通借家」契約が前提の話であり、都心で増加中の「定期借家」契約の物件では、まるで話が異なる。

「定期借家の場合、期間満了時は、普通借家契約のような『更新』ではなく、『再契約』という扱いになります。したがって、もとの定期借家契約は終了したうえで、改めて契約し直すということになるため、改定賃料で合意できなければ借家人は退去せざるを得なくなります。そのため、賃料交渉の主導権は事実上貸主側にあるといえるでしょう」

◆家賃増額に備えるための9つのポイント

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