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「静岡市VS浜松市」の対立・分断が顕著に…実は「リニア問題への関心は低かった」静岡県知事選を振り返る

日刊SPA! / 2024年5月30日 8時49分

JR東海がリニアの2027年開業を断念した直後、川勝前知事は差別発言の責任を取って辞任。辞任会見で、川勝前知事は「リニア開業を遅らせることができた」と述べています。同発言は、あたかも静岡県がリニアを妨害していたかのように受け取れます。これが、さらに静岡県への非難を集中させることになりました。

川勝前知事の辞任は、静岡県の有識者会議にも影響を及ぼします。川勝前知事は静岡県内のみならず県境にあたる山梨県内でのボーリング調査についても「(静岡県内の)地下水が引っ張られる可能性がある」という理由から調査に反対していたのですが、辞任表明直後の5月13日に地質構造・水資源部会専門部会が「技術的に問題なし」として、山梨県内で実施予定にしていたボーリング調査を容認する姿勢へと転じます。

同専門部会は静岡県が水資源を守る目的で設置された有識者会議ですが、知事の意向に沿うような検証をする組織ではありません。

川勝前知事が辞任した途端に専門部会がボーリング調査を容認したため、推進派からは「専門部会の主張は非科学的で、川勝知事に忖度してボーリング調査を反対していた」と断じられています。

◆問題発生時の対応が遅すぎるJR東海

そもそも、静岡県が設置した専門部会が山梨県内の工事を止める権限があるのか? という疑問もありますが、川勝知事の辞任によって専門部会が意見を翻したことは、それまで忖度していたと判断されても抗弁できない話です。

科学的な議論をする有識者会議が、知事の主張に沿う意見を出すのでは、有識者会議は形骸化し、存在意義が問われます。
静岡県の専門部会が山梨県でのボーリング調査を容認したことで、リニアは大きく前進するはずでした。

ところが、その直後にリニアを大きく揺るがす出来事が発生します。それが岐阜県瑞浪市大湫町で起きた井戸水やため池などの水位低下です。大湫町では今年2月下旬から町内32か所の水源やため池で水位の低下が確認されていました。その事態を2月に把握していたJR東海が調査を実施した結果、水位の低下はリニアのトンネル掘削工事に起因するものと認めました。

JR東海は水位が低下したことを瑞浪市に報告をしていたようですが、岐阜県にはしていませんでした。また、5月13日になって大湫町で住民説明会を実施。岐阜県への報告も住民説明会の実施も水位低下が観測されてから約3か月後ですから、JR東海の対応は遅すぎると言わざるを得ません。

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