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「静岡市VS浜松市」の対立・分断が顕著に…実は「リニア問題への関心は低かった」静岡県知事選を振り返る

日刊SPA! / 2024年5月30日 8時49分

◆実は「リニア問題」への関心は低かった?

こうしたドタバタ劇を見ていると、静岡県知事選でリニア問題は重要な争点のように思えます。しかし、実際は県知事選においてリニア問題が議論される機会は多くありませんでした。

筆者は各候補者の街頭演説を取材し、候補者本人や応援に来ていた国会議員などにもリニアの質問をしています。少しでも票を取り込みたい候補者が言葉を濁して玉虫色の回答をすることは選挙戦では日常茶飯事ですが、応援に来ている国会議員や地方議員なども「リニアに関心が高いのは大井川流域の自治体で、ほかの地域で関心は低い」と口を揃えました。

特に、静岡県東部におけるリニアへの無関心は想像以上でした。鈴木氏をサポートする形で沼津を回っていた渡辺周議員にリニア問題を直撃しましたが、渡辺議員は「静岡県東部において、リニア問題への関心は低い」と前置きしながらも、「リニアはあちこちで工事が遅れている。静岡が悪者のように言われているが、実際は違う」と静かながら非常に強い怒りを含んだ口調で語りました。

◆「静岡市と浜松市の対立構図」をまとめる必要が…

リニアが県知事選の争点ではないとすると、ほかに知事選の争点は何だったのでしょうか? 浜松に計画されているドーム球場の是非なども争点のひとつとして浮上しましたが、なによりも今回の県知事選は県都・静岡市出身の大村氏と、静岡市より人口が多く産業も集積している浜松市長経験者の鈴木氏という、いわば静岡市(中部)VS浜松市(西部)という対立構図が争点でした。

そうした対立構図は各地域の得票にも明確に表れています。県西部は鈴木氏を、県中部は大村氏を支持する傾向が鮮明に出ていました。知事選で分断されてしまった静岡県をひとつにまとめること、それが鈴木新知事の最初に取り組まなければならない仕事になりました。

◆蚊帳の外に置かれていた東部・伊豆エリア

そして中部と西部の争いという今回の選挙で、蚊帳の外に置かれていたのが東部・伊豆エリアです。鈴木・大村両陣営は東部・伊豆の票を取り込むべく、熱心に足を運んで支持を訴えました。

鈴木氏は沼津を地盤とする立憲民主党の渡辺周衆議院議員を、大村氏は三島市を地盤にしている自由民主党の細野豪志衆議院議員を伴って遊説するなど、両候補からも配慮が窺えました。

鈴木新知事は東部・伊豆の振興策として専任の副知事を置くとしています。副知事人事は議会の承認が必要になるため、それまでは担当戦略監を新設して対応するとの見通しを示しました。

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