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「静岡市VS浜松市」の対立・分断が顕著に…実は「リニア問題への関心は低かった」静岡県知事選を振り返る

日刊SPA! / 2024年5月30日 8時49分

鈴木・大村両候補が重要視した東部・伊豆振興策もさることながら、川勝県政が残した課題のひとつに静岡市・浜松市の2つの政令指定都市の人口減少対策・地域活性化があります。

◆「政令指定都市の失敗作」と言い放った川勝前知事

人口減少は全国的な傾向で、特に静岡県だけが抱えている問題ではありません。しかし、静岡市は政令指定都市でありながら人口が70万人を割るという、凋落傾向が鮮明になっています。

人口減少対策・地域活性化は主に市長の仕事になりますが、知事もノータッチを決め込むわけにはいきません。というのも、川勝前知事は静岡市を「政令指定都市の失敗作」と言い放ち、田辺信宏市長(当時)とは険悪な状態が続いていたからです。

2023年に静岡市長は難波喬司氏になり、静岡県と静岡市の関係修復が進むと思われましたが、それから1年で川勝前知事が辞任してしまいました。

静岡県と静岡市の両トップが、仲睦まじくする必要はありません。知事と市長は、ほどよい緊張感を保って切磋琢磨する方が好ましい関係です。しかし、災害時や産業誘致などでは一致団結できる体制が求められます。川勝・田辺体制下では互いを敵対視して口もきかないような状態でした。県民・市民にとってマイナスでしかありません。実際、2022年に静岡市で発生した水害では、知事と市長の足並みが揃わず復旧に時間を要しました。

◆静岡市民から熱い支持を集めた大村氏だが…

また、川勝知事は政令指定都市の静岡市を解体して静岡県に組み込むような、いわゆる静岡県都構想も推進しようとしていました。これが静岡市民の怒りに火をつけています。

今回の知事選で、静岡市民の多くが「静岡市出身」の大村氏に投票しました。副知事を務めた経験があるとはいえ。大村氏には政治家経験がありません。首長としての手腕は未知数です。

それにも関わらず、静岡市民の多くは「凋落する静岡市をなんとか立て直してほしい」という思いから静岡市出身の大村氏に一票を託したのです。

全国的にはリニアがクローズアップされた静岡県知事選ですが、このように新知事が取り組まなければならない課題は多岐にわたり山積しています。

<取材・文・謝礼/小川裕夫>

【小川裕夫】
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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