1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「静岡市VS浜松市」の対立・分断が顕著に…実は「リニア問題への関心は低かった」静岡県知事選を振り返る

日刊SPA! / 2024年5月30日 8時49分

◆静岡県民が不安を募らせるのもやむを得ない事態に

また、JR東海は水位低下がリニア工事に起因することを認めながらも、一定の場所まで予定通りにトンネルを掘り進めるとし、即時に工事を中断しないとの見解を示していました。しかし、騒ぎが大きくなったために即座に工事を中止しています。

JR東海の丹波俊介社長は、瑞浪市で起きた水位の低下について「静岡のケースとは異なる」と記者会見で述べています。岐阜県と静岡県のケースが異なることは理解できますが、重要なのはそこではありません。

問題視しているのは「なぜ、水位の低下が判明してから3か月も連絡をしなかったのか?」ということと、「なぜ、水位の低下が判明した後も工事を中止せずに続行しようとしたのか?」という2点です。

一連の発言からは、「問題が起きても、明るみに出るまでに工事を進めてしまおう」「水の問題なんて大した話ではない」というJR東海の思惑が透けて見えてしまい、「大井川でも起きるのではないか?」という不安が静岡県民の間では膨らみました。

◆報道を受け、主張を変えた両候補

県知事選の序盤では、鈴木・大村両候補ともにリニア推進を掲げていました。が、選挙期間中に瑞浪市の一件が大きく報道されると両候補は主張を転換させます。

鈴木氏は川勝県政を評価する発言が増え、リニアに対しても厳しいスタンスへと変化。一方、大村氏も「(リニア問題は)一年以内に結論を出す」との主張を封印。加えて、静岡県のために静岡空港駅の開設を働きかけるとの主張を掲げるようになりました。

静岡空港は2009年に開港していますが、空港までのアクセスが難点。空港が立地する台地の下には、東海道新幹線が走っています。そこに目を着けたのが当時の静岡県知事だった石川嘉延氏でした。

静岡空港の真下に新幹線駅を開設すれば、新幹線と航空機との乗り継ぎがスムーズになります。乗り継ぎがスムーズになれば、おのずと利用者の拡大が見込めるわけです。

静岡空港の開港は石川氏の悲願の政策だったこともあり、石川氏は静岡空港駅の開設をJR東海に働きかけていました。
しかし、JR東海は静岡空港駅を新設すると駅間が短くなり、ダイヤに支障が出るといった理由で拒否。次の知事である川勝氏も静岡空港駅を実現するためにJR東海に働きかけていますが、静岡空港駅は実現していません。

これが静岡県とJR東海の関係をギクシャクさせている一因でもあるのですが、大村氏が選挙終盤になって静岡空港駅の新設を持ち出したことは、対JR東海という課題において石川・川勝路線を継承するという静かなる意思表示でもあったのです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください