「日本経済を支える100歳ビル」に「間もなく消えるレトロビル」も…初開催“建築フェス”で名建築と触れ合ってみた
日刊SPA! / 2024年10月13日 8時53分
◆①日証館(1928年築)
筆者が最初に訪れたのは中央区兜町にある「日証館」。公開開始は朝10時だったが、11時前に到着したときには早くも長蛇の列ができていた。日証館は1928年に「東株ビルディング」として建てられたオフィスビルで、1943年に現在の「日証館」に改称された。設計は日本橋三越本店を手掛けたことで知られる横河民輔氏だ。
日証館が建築される前、この場所には渋沢栄一氏の邸宅・事務所があったものの関東大震災で焼失。東株ビルディングは震災後の日本経済を立て直すべく、証券会社やそれに関連する業種の事務所が入居するための建物として東京株式取引所(現在の東京証券取引所)が渋沢邸跡地に建築したもので「復興建築」の1つだった。同時期には旧東京証券取引所ビルも完成している。
間もなく100歳を迎える日証館の館内には公証役場や法律事務所、税理士事務所、会計事務所、そして日経新聞社分室なども入居しており、日本の経済を支える存在となってきた「歴史の生き証人」は今もバリバリ現役だ。
見学の待機列を見渡すと家族連れや外国人観光客と思しき人の姿もあり、参加者層は幅広い印象。並んでいる人のなかには他の建物を見てきた人もいるようで「三井本館の列はやばい」「1時間近く並んでようやく見れた」「(移築保存された)中銀カプセルタワーは見れないかも……」などといった声が聞こえてきた。この日証館でも30分以上並んだものの、建物の歴史を調べつつ外観をゆっくり観察しているとすぐに時間は経った。とはいえ、初夏の日差しは予想以上に強い。もし次回の建築祭が同じ季節に開催されるのであれば、しっかりと暑さ・日焼け対策を行っておいたほうがいいかも知れない。
◆建築当時の意匠が残る天井
日証館で特別公開されたのはエントランスホールと階段部分。混雑していたもののすぐに退出しなければいけないということもなく、建築当時の意匠が残る天井や日本橋川を望む石造りの階段室を思う存分見学することができた。
ちなみに、日証館の1階部分にはアイスクリームカフェも出店している。見学当日は夏日だったこともあり、見学後に立ち寄る人も多かったようだ。日本橋での買い物のついでや隣接する東証を見学した際などに立ち寄って、100年の歴史に想いを馳せてみては(カフェは水曜定休、東証は平日のみ開場)
日証館を見学し終わったあとは、1878年に鎮座した証券業界の神様「兜神社」にお参り。ここからは、隣接する「日本橋ダイヤビルディング」(三菱江戸橋倉庫ビル、1930年築、今回の公開対象ではないが見学可能)を一瞥したあと神田へと向かうことにした。
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