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「吃音のハンデの克服には難関医学部に合格するしかない」吃音を持つ医師が“悩み続けた”半生を告白

日刊SPA! / 2024年11月18日 8時52分

医者には、臨床と研究の2つの道があります。研究であれば、吃音が関係ないと思われるかも知れませんが、研究をすすめるにあたり、上司や同僚とディスカッションする必要は当然にありますし、研究成果を発表する学会発表もあります。大学からの研修先での病院で、症例報告を初めて口頭発表する際に、上司から緊張ほぐすためにお酒を飲んでから発表したらどうか、と提案されました。地域の病院いくつかが集まっての発表の場で、研究会レベルでしたので、冗談だったのかも知れませんが、私は、真に受けてしまい、発表前に、先輩が準備して渡してくださったウイスキーをストレートで何杯も飲みました。口頭発表時には千鳥足で、呂律も回らない状態となってしまい、発表途中で気を失い、退場となりました。その後、どうなったのか分かりませんが、付き添いの上司が何とかしてくださったようですが、翌日、こっぴどく叱られました。

◆“口頭”での学会発表にこだわったワケ

――一方で、大舞台で吃音が出ないこともあったという。

北村:大学の助教時代、大きな学会発表、確かプレナリーセッションで研究成果を口頭発表した際には、何故か発表時にも、質疑応答の際にも、全く吃音がでませんでした。気をよくして、次の学会でも普通に口頭発表をしようとしたところ、ひどくどもってしまい、おそらく、聞いているドクター方は、何を言われているか分からないくらいだったと思います。それでは研究内容がうまく伝わらないと思い、その後の学会発表では、スライドにあらかじめ録音して、流すように工夫しました。ただ、そのスライドの録音の際にも、何度もどもってしまい、たった1枚分のスライドを録音して完成させるのにも、何度も何度も撮りなおす必要がありました。

しかし、医者になって、研究留学をするという夢もあった私は、研究留学の道を切り開くために、ポスター発表という選択肢もある中、吃音のハンデと戦いながらもあえて口頭発表での学会発表を続けました。政府の助成金でニューヨークにある医大に研究留学させていただいたのですが、留学先は、自分で履歴書をあちこちの大学や研究機関に送って受け入れ先を探しました。100通以上も電子メールを送ってアプライしましたが、推薦状2通を要求してくださったのは、わずか十数か所。パリの学会のプレナリーセッションでも、録音したスライドで発表したのですが、カナダのトロント大学の准教授が、私の発表を聞いてくださり、トロント大学での学会発表に招聘してくだいました。留学の応募時の推薦状は、慶應義塾大学の教授お二人に加え、トロント大学の准教授にもお願いして準備していただのですが、最終的に決まった研究室は、そのボスが、私がパリの学会のプレナリーセッションで録音したスライドで発表していたのを見ていたそうで、履歴書、推薦状での書類選考後、電話での面接1本で、即決でした。

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