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生成AIに悩み相談をしたら?心はなくとも“会話力と共感力”で人間を超える「AIカウンセラー」の可能性

日刊SPA! / 2025年1月26日 8時52分

◆心がなくても大丈夫!生成AIの驚くべき可能性

 ここまでAIとの会話の内容や声、雰囲気を自分好みにカスタマイズできるなら、AIに恋をする人が現れても不思議ではないと私は思います。心を持たないAIとの恋などおかしいと感じるかもしれませんが、その問いが浮かぶとき、私が思い出すのは、『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』などの著者として知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏が、AIについて語った次のような一言です。

「鳥のような羽がなくても飛行機が鳥より速く飛ぶように、人間のような心がなくてもAIは人間よりも心をよく察知できる」

 人間は心を持っていますが、人間同士が理解し合い、争わないかというと、そうではありません。喧嘩もするし、誤解もあるし、戦争も起こります。AIに心があるかどうかは、実際のところ、それほど重要な問題ではないのです。少なくともAIは人間よりも人の話を聞くのが上手で、人間の心の機微を把握してくれます。ハラリ氏の言葉は、今や、人の心を理解してくれるのは人間ではなく、AIなのだと、という宣言です。

 AIに心をすべて委ね、依存してよいかどうかについては、私自身まだ懐疑的な部分もあります。人同士が出会って、会話し、共感しあうプロセスは、人にとって大切だからです。しかし、AIが人間の心に寄り添ってくれる以上、今後の活用の余地はまだまだ広がるのではないでしょうか。

 実際、一人暮らしのご老人の会話相手や、カスタマーサポート、独学用の家庭教師など、社会に役立つ場面は多いと思っています。

◆生成AIは敵か味方か?その答えは…

 生成AIが人間の心を理解し、共感するという新しい時代が到来しつつある昨今、AIと人間が手を取り合い、共に新たな価値を創造していくことが求められていると言えるだろう。

 前述のとおり、生成AIの進化は驚くべきものであり、私たちの生活に多大な影響を及ぼす可能性を秘めている。

 しかし、それは決して人間の存在価値を脅かすものではなく、むしろ人間の可能性を引き出すための最高のパートナーとなり得るはずだ。

【池谷裕二】
1970年 静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。 東京大学薬学部教授。 2002~2005年にコロンビア大学(米ニューヨーク)に留学をはさみ、2014年より現職。 専門分野は神経生理学で、脳の健康について探究している 。また、2018年よりERATO脳AI融合プロジェクトの代表を務め、AIチップの脳移植によって新たな知能の開拓を目指している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。また、『夢を叶えるために脳はある』(講談社)で小林秀雄賞受賞(2024年)。

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