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「客単価は2,000円」“ガンダムオタク”に愛されたバーの店主が、「値上げができず、閉店を決意した」理由

日刊SPA! / 2025年2月8日 15時52分

「プラモデルを作るのが意外と苦手なんですよ。作るのはお客さん頼みで(笑)。僕自身はこの、古いバンダイのプラモデルを集めるっていうのをライフワークにしてるつもりです」

店内にある膨大なガンプラやグッズの処遇は未定で、福島県の実家に持ち帰るのも困難なため、2月中に店舗営業と並行しつつ今後の扱いを決めていく。

◆客のお財布に優しい料金設定を続けた理由は…

小山さんは地元の福島県・郡山の企業で営業職を長年勤めたのち、46歳で諸事情により脱サラ。縁あって中野で「プロフェッサーTK」を開いたことが、初の東京進出となった。テナント家賃は開業当初から変わらずの約24万円。開業当初は中野エリア内でも比較的高いほうだったが、現在は中野を含む都内の再開発や家賃高騰が進むなか、平均的な水準になったという。

チャージやドリンクなどの料金設定も開店時とほぼ同じで、客単価は概ね2,000円前後。常連客がボトルを注文すれば大幅プラスになるが、それでも多くて4,000〜5,000円である。値段を変えなかった理由について、「値上げをする勇気がなかった。優柔不断だった」と謙遜しつつ、単なるバーではない「ホビーバー」経営だからこその気遣いも語った。

「お客さんは皆オタクだから、優先順位的にはまずオモチャやプラモを買いたいわけじゃないですか。今月出るこのプラモは何千円、この超合金は3万だか4万だかって。飲み食いよりはプラモ買わなきゃ、って人達だからね。その遊興費を切りつめてまで、この店に週1や週2で来てくれたりするのは大変じゃないかなって。それを思うと値上げは出来なかったですね」

昨今はガンプラ人気が拡大して高額プレミア商品が続々リリースされる一方、原材料費・輸送費の高騰が商品価格に上乗せされたりと、オタクにとってはお財布事情の厳しい状況が続いている。小山さんのやわらかい語り口からは、店主も客も「プラモデル」「ガンプラ」という同好の士であるがゆえの洞察と思いやりが窺えた。

◆中野の飲食店は経営10年でも「老舗」扱い

一方、「プロフェッサーTK」を10年で畳むことについて、小山さんとしては力及ばずというより、むしろ中野エリアでは十分以上に長続きした方と考えている。

「よく『中野では10年営業できれば老舗以上』って言われるんですよ。そんな厳しい街で10年やってこれたのは、僕の人生としての自信になったかな、というのはあります。次またこういう店をやるかどうかは白紙ですけどね」

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