健大高崎なぜ強い?答えは「ホワイト部活」朝練なし!スマホOK!プレー叱責なし!令和の新トレンドなるか
スポニチアネックス / 2025年1月24日 23時8分
第97回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で行われ、関東・東京からは昨年大会で甲子園初優勝を果たした健大高崎(群馬)が選出された。甲子園優勝の軸となった3年生が引退した昨夏の新チーム始動後も、公式戦は8勝1敗、練習試合は39勝1敗と圧倒的な成績を残している。アマチュア野球担当記者が強さの秘密に迫った。
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健大高崎の強さの秘密は何か。昨春の甲子園優勝以来、ずっと考えてきた。選抜出場校発表を翌々日に控えた22日、練習開始前に群馬県高崎市にあるグラウンドを訪れると、引退した2人の3年生選手が自主練習をしていた。打撃練習を終えた2人はブルペン前のベンチに腰掛けていた記者に「コンチワッ!」と気持ちの良いあいさつ。聞くと同志社大、玉川大に進学するという。世間話に花が咲き、30分以上も話し続けた。流れで「健大高崎ってなんで強いと?」と聞いてみた。
健大高崎の練習時間は他の強豪校と比べると短い部類。平日は午後4時から練習が始まる日もあり、それでも午後7時くらいには終了する。スカウティングが優れているといっても、中学の逸材がそのまま高校野球で伸びるかは分からない。自慢の施設を備えているが、全国を見渡せば同じ規模の学校はある。創部22年で全国制覇できた理由を、引退して一息ついた3年生に聞いてみたかった。
答えは意外だった。「ホワイト部活だからじゃないっすかね」。彼らが口をそろえた「ホワイト部活」とは何か――。具体的に聞いてみた。
ホワイト部活(1) 練習時間の短さ。
全体練習は午後7時には終わる。それ以降、翌日夕方まで全体練習はない。練習場に隣接する寮には消灯時間が設定されておらず、登校まで選手は「フリー」となる。外食をする選手もいれば、趣味などリフレッシュに充てる選手、自主練習をする選手もいる。翌朝の「朝練」もない。複数の選手に取材すると、7時間30分~8時間30分の睡眠時間を取っていた。青柳博文監督も「睡眠時間が短いと体ができない。自分自身も睡眠を大事にしています」と睡眠重視の考えだった。
(2)寮でのスマホ使用の制限なし
一部の強豪野球部では寮でのスマホが制限されている。健大高崎でも以前、寮でスマホを回収している時期もあったが、現在はSNSの投稿以外は使用、所持に関する制限はない。「取り上げてもあんまり意味がないなと思いましてね。昔はダミーのスマホを(回収に)出されて怒ったこともあったんですよ。コロナの時に連絡をするためにスマホが必携になりまして、そのままにしています。これは自己管理次第です。しっかり自分のことを律することにつながりますから。大学に行ったら自分で考えて、自分で管理しないといけないですからね。結果が出るかは、人に言われるかではなく自分次第なんです」と青柳監督。新チームから主将に就任した加藤大成(2年)は練習後の自由時間、スマホで青森山田サッカー部に密着した動画視聴を通して、ナインを統率する言葉のヒントを得ていた。
(3)プレーでの叱責なし
健大高崎の練習を見て、気づいたことがある。指導者がプレーにおいて選手を叱責することがない。ノックや打撃練習を見学していても指導者から「そんなんじゃ勝てないぞ!」というような声を聞かない。練習の意識を実戦のレベルまで引き上げるためにも必要に思える叱責。それが健大高崎にはない。理由を青柳監督に聞いた。
「昔は言ってましたよ。でも今はしないですね。生活のことは厳しく言いますよ。(プレーにおいては)長年指導して強く言っても、あんまり変わるものはないってつくづく分かったんです。シートノックでいえば、関係ない選手が(叱責の間に)待たされるって無駄な時間じゃないですか。かわいそうかなって。それだとノック一本でも打った方がいいなって」
指導者として達観しているように見えた青柳監督。ただただ、緩いだけではない。健大高崎にはA、B、Cチームがあり、それぞれに指導者がついて練習試合の結果、練習での成長をチェックされ、カテゴリの入れ替えが行われる。「フリーな時間」も「叱責なし」も「スマホOK」も、最後には結果で判断される。
過程よりも結果。まるで働く社会人のようである。「やっぱり自主練習で差がつきますよね。これが勝負の分かれ道」と指揮官。高校野球に大学野球のような自由、そして一般の社会人のような結果主義を取り入れた健大高崎野球部。令和の高校野球における、新たなトレンドになるかもしれない。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)
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