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ジャイアント馬場を苦しめた “悲劇の悪役レスラー”フリッツ・V・エリック「鉄の爪」伝説

日刊大衆 / 2024年4月16日 12時0分

写真はイメージです

 1966年に日本プロレスに初来日後、120キロを超える握力で相手選手の顔面を握り潰す必殺技、アイアン・クロー(鉄の爪)でマット界に名を馳せた名レスラー、フリッツ・Ⅴフォン・エリック。

 彼と、その一族がたどった数奇な運命を描いた映画『アイアンクロー』が4月5日に公開され、話題となっている。

映画が話題

「製作会社のA24は、12年設立の独立系映画スタジオです。16年、23年にアカデミー作品賞受賞作を製作するなど、今、最も勢いのある会社で、本作は映画ファンからも注目されています」(映画誌ライター)

 エリックは、97年に68歳でこの世を去ったが、日プロ、そして全日本プロレスのリングで見せた凶暴なファイトは、今もオールドファンの間では語り草だ。

「日プロ時代、ジャイアント馬場のこめかみを掴むと、驚異的な握力によって馬場の額から鮮血がしたたり落ちるシーンは、衝撃でした。

 場外に逃げた相手の側頭部を掴んでロープ越しに引きずり上げたり、ストマック・ブローで胃を掴み出さんばかりに絞め上げたりと、右腕一本で見せ場を作る術は見事でしたね」(ベテランのプロレス記者)

週刊プロレス元編集長ターザン!山本「事業家でインテリジェンスあふれる素顔も…」

 ただ、彼は単なる悪役レスラーではなかった。『週刊プロレス』元編集長のターザン!山本氏は、こう語る。

「彼はテキサス州でプロレス団体を設立、後にホテル、スーパー、銀行と手広く手がけた事業家です。リング上では暴虐の限りを尽くしていたが、素顔はインテリジェンスにあふれており、家族思いでした。

 しかし、その大切にしていた家族が彼を絶望へと突き落としたのだから、運命とは皮肉なものです」

ケネディ家と並び“呪われた一家”

 エリックには、妻との間に6人の息子がおり、エリックは幼少期から彼らにレスリングを教え込んだ。

「6歳で事故死した長男を除き、全員がレスラーになりました。しかし、三男のデビットは、全日本プロレス参戦時の84年に内臓疾患で急死し、86年には四男・ケリーがバイク事故で足を切断。87年には五男・マイクが23歳で服薬自殺。91年には六男・クリスが21歳でピストル自殺をしているんです」(前出のベテラン記者)

 ケリーは義足をつけながら、プロレスに復帰したものの、後に、やはりピストル自殺で、この世を去っているという。

「そのため、アメリカではケネディ家と並び、“呪われた一家”と呼ばれています」(山本氏)

筋肉増強のためにステロイドを

 エリック家の相次ぐ悲劇については、これまでにも、さまざまな検証がなされている。

「親族や仲間が自殺で亡くなると、残された人間も後追いしてしまう現象は、よくあります。

 ただ、エリックは息子たちをレスラーとして大成させるため、当時、マット界で乱用されていたステロイドを勧めていたとも囁かれました」(ベテランの記者)

 筋肉増強のためにステロイドを常用すれば、副作用として精神的な不安定さが生じるとされる。また、五男のマイクはリングでの痛みを紛らわせるため、ドラッグ中毒になっていたともいわれる。

 父の背中を追い、プロレスに関わったことで、息子たちに不幸の連鎖が起きてしまったのだろうか。

離婚しプロレス事業から撤退

「晩年のエリックは妻とも別れ、プロレス事業から撤退。そういう哀愁も含め、実に“模範的”なプロレスラーだったと思います。

 挫折や絶望こそが、ときにレスラーを輝かせるわけですから。何より悲劇から何十年もたって、映画化された。ある意味、エリック一家は世間に勝利したとも言えます」(山本氏)

 人生とは終わりのない闘いである――生涯を通じてそれを体現したフリッツ・V・エリックこそ、真のプロレスラーなのかもしれない。

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