【山口敏太郎の現代妖怪図鑑183】「オッペケペーさま」に魅入られると人間でいられなくなる
東スポWEB / 2024年4月17日 11時37分
オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第183回は「オッペケペーさま」だ。
山に住む、神のようでもあり、妖怪のようでもある存在だ。このオッぺケぺーさまに魅入られると、顔が変形し、ボケたようになってしまい、人間ではいられなくなる。
昔は各集落に1人は、オッぺケぺーさまに魅入られる人が存在し、その犠牲者を出した家は、まるで交換条件のように繁栄したとされる。また、オッぺケぺーさまからの合図のように数枚のお皿が家の前に置かれていたという。
筆者にこの妖怪を教えてくれた人の知り合いの家では、娘がオッぺケぺーさまに魅入られてしまい、様子がおかしくなってしまった。激怒した父親が家の前の皿を叩き割ったところ、突然病死してしまい、長男が事故死してしまったそうだ。
オッぺケぺーといえば、明治時代の流行歌、オッペケペー節は有名だ。関西の落語家の桂文之助(二世曽呂利新左衛門)の弟子の3代目桂藤兵衛または2代目桂梅枝かおりが世相を皮肉って歌い始めた。その後、さらに弟子の川上音二郎が1891年に壮士芝居を立ち上げ、一般的に流布した。
オッペケペーという言葉自体に意味はないが、あざける表現であるようだ。歌詞の内容は政権批判、金持ち批判に終始しており、庶民の圧倒的支持を集めた。さまざまなバージョンがあるが、娘が親のために体を売ってカネを稼がなければならない世の中を皮肉った歌詞もある。
そのような歌詞と、家の繁栄と交換に人であることを捨ててしまったことを重ね合わせているのであろうか。
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