「持てる世代」と「持たざる世代」〜 40代が貯蓄・負債の明暗の境目?
LIMO / 2019年11月2日 20時20分
「持てる世代」と「持たざる世代」〜 40代が貯蓄・負債の明暗の境目?
子育て世代は出費も多く、なかなかお金が貯まらないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。周りはどれくらい貯めているのか、現役を引退したシニア世代はどれくらい貯蓄があるのか、気軽には聞けないことですが気になりますよね。そこで今回は、40歳未満、40代、50代、60代、70歳以上それぞれの貯蓄額・負債額と、見えてきた世代間格差について紹介します。
各世代それぞれの貯蓄額・負債額は?
総務省は、2019年5月17日に「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)」を公表。それによると、2人以上世帯の2018年の1世帯当たり貯蓄現在高の平均値は1752万円となっています。
こんなにもみんな貯蓄があるのかと驚かれるかもしれませんが、平均値は「すべて値の合計をデータの数で割った数字」であるため、一部の富裕層により数値が引き上げられる傾向にあります。実際に今回の結果でも、全体の平均貯蓄現在高の1752万円を下回る世帯が約3分の2(67.7%)を占めているので、多くの世帯は平均値より下なのです。
そこで、データを順番に並べた際に真ん中にある「中央値」を見てみると、貯蓄保有世帯の中央値は1036万円、貯蓄「0」世帯も含めた中央値は978万円となっています。
では、各世代の貯蓄現在高の平均値はどのようになっているのでしょうか?
世代別の1世帯あたり貯蓄現在高平均値
40歳未満:600万円
40歳代:1012万円
50歳代:1778万円
60歳代:2327万円
70歳以上:2249万円
次に負債現在高を見てみましょう。全体の負債現在高の平均値は558万円ですが、負債保有世帯は全体の39.9%、負債なし世帯は61.1%。そのため、負債保有世帯で見た平均値は1147万円、中央値は1470万円となっています。
なお、世代ごとの負債現在高の平均値は以下の通りです。
世代別の1世帯あたり負債現在高平均値
40歳未満:1248万円
40歳代:1105万円
50歳代:683万円
60歳代:207万円
70歳以上:104万円
「持てる世代」と「持たざる世代」がはっきりと分かれている
上記の世代別の貯蓄現在高を見ると、60代は40歳未満の4倍弱と、その差が大きいことが分かります。また、2013年と2018年の負債現在高を比べてみると、全体では58万円増であるところ、40歳未満では317万円増、40代は111万円増で、住宅ローンや教育費を抱えた子育て世帯の家計が厳しくなっていることが想像できます。
シニア世代はローンなどの負債をほとんど返済して、十分な退職金が手に入れることができ、余裕のある老後を送れる人も少なくないものの、子育て世代はローンの返済だけではなく、社会保険料の負担や増税の影響もあり、貯蓄額を増やすことが難しくなっています。また、大企業でのリストラもめずらしくなくなっており、終身雇用も崩壊しつつある状況で、今のシニアのような退職金がもらえるとも限りません。
こうした「持てる世代」と「持たざる世代」の格差は、今後も縮まることは期待薄だということが想像できます。
貯蓄を増やすにはどうすればいい?
上記の調査結果を見て、「周りに比べると貯蓄が少ないかも…」と不安になった人もいるでしょう。どうすれば貯蓄を増やすことができるのでしょうか。
貯蓄は、①いつまでに貯める、②いくら貯める、③どのように使うということを明確に設定して、目的別に貯蓄用の口座を分けると管理しやすくなります。
たとえば「マイホームの資金として、結婚するときまでに500万円貯める」「子どもが大学入学するまでに500万円貯めておく」といったように、目標はできるだけ具体的に想定しましょう。それを貯めるためには逆算して年にいくら、月いくら貯めれば間に合うかと計算することにより、貯蓄に対する意識が高まります。
貯蓄すると決めた額は、給料日にそれぞれの口座に分けてしまうことで確実に増やすことができます。一度貯蓄用の口座に入れたお金は、余程のことがない限り使わないようにしましょう。
また、「毎月の給料から貯蓄用のお金を捻出するのが厳しい」という場合はボーナス時に一気に貯蓄を増やすというのも手です。計画なしに使いすぎて、後になってから困らないようにしたいものです。
おわりに
総務省の調査結果からは、シニア世代が十分な貯蓄を蓄えていることが分かりました。しかし、社会保険料や税金の負担増、終身雇用が崩れつつあり退職金に期待できないという未来が待ち受けているこれからの時代は、今までより貯蓄の難易度が上がると予想できます。年金に対する不安もある中で、いかに早くから用意して備えるかが大切になります。1日でも早く貯蓄目標を立て、計画的に貯蓄を増やしていけると良いですね。
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