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「超ブラック企業」なのに「なりたい職業ランキング」上位の職種…それでも辞めない理由とは

LIMO / 2019年11月3日 18時45分

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「超ブラック企業」なのに「なりたい職業ランキング」上位の職種…それでも辞めない理由とは

「給料が安い」「残業代なし」「休日出勤」「長時間労働」など、ブラック企業と呼ばれる企業内では水面下でさまざまな問題行動が行われています。

どこか人ごとのように感じてしまう「ブラック企業」の存在ですが、働くママやパパにとって身近な存在である「保育園」の中にも、ブラック企業といわれている施設があります。

では、一体なぜ保育施設がブラック企業として国からも問題視されているのでしょうか。

私立幼稚園の教諭として働いていた筆者だからこそわかる、保育現場のリアルなブラックぶりをご紹介します。

保育士は安月給?

厚生労働省の調べによると、勤続年数7〜8年の女性保育士の平均月収は「約27万円」(※1)。
ここから社会保障や年金などが引かれることになるので、手取りは25万円を下回ることが予想されます。
この「手取り約25万円」という厚生労働省の数字を見て、にわかに信じられない私…なぜなら、友人の保育士にヒアリングしてみると「手取りで20万円を切る」という意見が多かったから。

田舎の保育施設に就職した新卒者Yさんに月収を聞いてみたところ、「手取りで10万円に毛が生えたくらい」との返答に筆者は絶句…。
保育士さんたちがしっかりと子どもを守ってくれているからこそ、保護者は安心して仕事に向かうことができますよね。

それなのに、月収10万円程度はいくらなんでもひどすぎるんじゃ…。と新人保育士さんの身を案じずにはいられませんでした。
Yさんは田舎町に住んでいるので、保育士としての給与は日本の中でも低い方。
都会では田舎よりも給与が多いと聞くので、保育士の給与は住んでいる土地によってかなり異なるということでしょう。

保育士は休憩もない?

例えば一般的な企業に勤める社内勤務の方などの場合、12時頃になるとランチタイムで1時間程度の自由時間が与えられることが多いですよね。

その時間は昼食をゆっくり食べたりメールのチェックをしたり、場合によっては会社の近くにあるカフェで「同僚とランチ」なんて優雅な過ごし方もあり。
午前中の緊張を癒してくれる休憩時間は、どのような職種においても非常に大切なものです。
しかし、保育士さんの場合は異なります。

以前、筆者が働いていた私立幼稚園では、昼休みとは「子どもたちと一緒に給食を食べる時間」であって、決して保育士さんが気を休められる時間ではありません。

実際に、担当のクラスを持っていた同僚は「たまには何も気にせずゆっくりご飯が食べたいな〜」「今日は忙しくて少ししか給食が食べられなかった…」なんて漏らすことも。
ゆっくりと神経を休める休息時間はおろか、トイレ休憩もままならないほど、保育士さんは子どもたちに「つきっきり」で日々お仕事をされています。

そこで、他の園での様子が気になった筆者は、自身の子どもがお世話になっている保育士施設で働く保育士さんの行動をチェックしてみることに。
ランチタイムはもちろん子どもたちと一緒に食事をしますが、受け持ちが低年齢クラス(0〜2歳頃)だと、もはや先生たちに自分のご飯を「ゆっくりと」食べる時間なんてありません!

「先生〜ぎゅーにゅーこぼした〜」「おしっこでる〜」「うんちでた」なんていってくる子どもたちもいれば、食べずにスプーンを持って遊び出す子どもも…。
そんな子どもたちの相手をしながら、自分の給食を胃に流し込む保育士さん。

やっと給食が終わったと思えば、床に散らかった食べ物の残骸を掃除し、子どもに歯磨きをさせてお昼寝の準備です。

子どもたちがお昼寝をしている約2時間の間は、子どもの今日1日の様子を連絡帳に記入したり配布物の準備をしたりと、あっという間に過ぎ去っていきます。

そんな保育士さんたちが子どものことを気にせずほっと一息つける時間は、子どもたちが帰り始める夕方になってから。

それまではあくまでも「子どもと一緒の昼休憩」「子どもと一緒のおやつ休憩」なので、ゆっくり休憩した気分にならないのでは?と筆者は考えていますが、どうでしょうか。

これを一般的な企業で行うと考えたとき、超をこえるブラック企業といわれてしまうのではないでしょうか。

保育士は安月収で休憩なしでも「憧れの職業殿堂入り」!

現在は深刻な保育士不足のため、各保育施設では人員が不足しています。
結果、どうしても今働いている保育士さん一人ひとりの負担が大きくなり、長時間勤務や休日出勤などにつながっているようです。

給料は安く休憩もないという保育士の仕事を客観的に見ていると、「子どもが好きでなければできない仕事」だと改めて気づかされます。

筆者の子どもが通う園では、数カ月に1度「保護者が保育に参加する日」があるのですが、それに参加したパパさんは「どれだけ給料高くても無理だ〜タバコ吸わせてくれ〜」と半日で音を上げていました。

そんな保育の現場ですが、日本FP協会による「小学生の将来なりたい職業ランキング(https://www.jafp.or.jp/personal_finance/yume/syokugyo/files/ranking.pdf)」では2007年から現在まで毎年、保育士の文字が記載され続けています(※2)。
給料は安くても、休憩がなかなか取れなくても、子どもが好きな人にとっては「子どもとずっと一緒に過ごすことができる保育の現場」はまさに天国。

給料が10万円程度しか貰えていない新卒のYさんは、こう断言されます。
「今はまだ満足した給料をもらえないけど、大好きな子どもと一緒に過ごすことでお金をもらえるから楽しい。子どもと一緒の休憩も全然気にならない。これからもずっと保育士を続けていきたい!」

一見すると超ブラック企業ともいえる保育の現場ですが、ブラック企業の定義とは案外うやむやで、「本人の感じ方」によるものも大きかったりして…?

【参考】
(※1)「保育士の平均賃金(https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/var/rev0/0119/7609/ho3.pdf)」厚生労働省
(※2)「小学生の将来なりたい職業ランキングトップ10」日本FP協会

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