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老後の「最低日常生活費」は年間270万円、「ゆとりある生活費」は430万円。どう備える?

LIMO / 2020年1月18日 19時15分

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老後の「最低日常生活費」は年間270万円、「ゆとりある生活費」は430万円。どう備える?

老後2,000万円不足するのは本当?人生100年時代に備えるには

金融庁のいわゆる「老後2,000万円問題(※1)」が大きな話題になりました。政治的な騒ぎで終わってしまったような感覚がありますが、2,000万円という金額には以下のような深刻な内容も含まれています。

・年金給付に頼っている高齢夫婦無職世帯では毎月の赤字額は約5万円(平均)
・老後の不足額は20年間で5万円×20年=約1,300万円
・老後30年間の場合は5万円×20年=約2,000万円

老後の生活費そのものは現役期と比べて減少するとはいうものの、年金は老後生活のメイン収入です。高齢化が深刻な日本では、年金制度の維持についても多くの問題を抱えています。日々の生活だけではなく、医療費や住居費、介護費等が重くのしかかる可能性もあります。旅行やレジャー、子・孫の予定も含めると、老後の生活は人それぞれ。各人で必要となる貯蓄を想定して老後資金について考えてみましょう。

【参考】
(※1)『市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html)』金融庁

老後の生活費「最低日常生活費」は22万円というデータも

ここで、「年金収入」と「生活費」について公的データを確認してみましょう。生命保険文化センターが公表した『令和元年度「生活保障に関する調査(速報版)」』(※2)によると、老後の生活費(夫婦2人)は
・「最低日常生活費」の平均額…月額22.1万円
・「ゆとりのある生活費」の平均額…月額36.1万円

この金額と公的年金のデータ(※3)を比較してみましょう。

《年金受給例》
・国民年金の場合…満額受給者1人あたり月額6万5,008円
・厚生年金の「モデル世帯」…月額22万1,504円

厚生年金の「モデル世帯」とは、「夫が平均月収(42.8万円、年収ベースで約513万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯」のこと。実際の年金額は平均月収や就業状況などの加入実績により異なることになります。

上述の「ゆとりのある老後生活」は毎月平均36.1万円です。年金の見込み金額と比較してどのように感じるでしょうか。仮に月5万円不足するとすれば、2,000万円問題と同じように20年で約1,300万円30年なら約2,000万円。不足額が月7万円であれば20年で約1,680万円30年で2,520万円となります。データはあくまでも目安ですが、重要な参考データとなります。

【参考】
(※2)『令和元年度「生活保障に関する調査(速報版)」(https://www.jili.or.jp/press/2019/nwl4.html)』 生命保険文化センター 2019年9月20日発表(調査対象:18~69歳の男女個人、サンプル数:4,014、調査時期:平成31年4月6日~令和元年6月2日)
(※3)『平成31年度の年金額改定についてお知らせします(https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000468259.pdf)』厚生労働省

老後資金を貯める計画を立てよう! 時代に合ったお金のふやし方

老後生活までのカウントダウンはすでに始まっています。「もっと早いうちから貯めておけば」と後悔しないためにも、早めに準備していくコツについて見ていきましょう。

(1) 老後生活に向けてライフプランを作る

老後に必要な資金を算出するため、ライフプランを作っていきます。老後の予定や金額をリストアップしていきましょう。マイホーム購入や教育費など、老後生活は貯金も大きく減った後です。車の買い替えなども、金額的に大きな負担となります。一覧表にしてみると、出費が続く時期やムダを省いて貯めるべき時期がはっきりしてきます。

また今後、できるだけ仕事を続けて、年金の「繰り下げ受給」(受給を遅らせる)を目指すことも有効な方法です。仕事を継続した場合の「在職老齢年金」についても支給額引き上げの方向で見直しが始まっています(※4)。健康維持に努めることは医療費の削減や年金受給の大きな対策となり、財産ともなるはずです。

【参考】
(※4)『「在職老齢年金」65歳超支給 月収62万円まで全額に(https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201910/CK2019100802000128.html)』東京新聞

(2) 貯蓄額と家計管理

ライフプランから貯蓄額の目標を確認し、節約や先取り貯蓄の増額など、家計管理のリズムを身につけていきましょう。貯蓄が苦手という方でもライフプランがあることで、家計引き締めの必要性を実感できます。

家計の中で、とくに固定費には注目です。携帯電話の料金プランやインターネットプロバイダー料金、加入している保険など、見直しすることで支出を大きく減らせる部分もあります。「ほかの手段で代用できないか」「同じ金額でもより良い内容にできないか」といった目線で費用を抑える方法を探してみましょう。

(3)税制メリットを生かす『iDeCo』『NISA』『つみたてNISA』

銀行の預金は超低金利が続いています。そこで、税制面の優遇制度のあるiDeCoやNISA・つみたてNISAを利用して老後資金を貯めるのもおすすめです。

【個人型確定拠出年金iDeCo】
個人型確定拠出年金のiDeCoは税制優遇を複数利用できる制度です。積立資金の全額所得控除、運用益は非課税、資金を受け取る際にも控除を受けられます。

原則60歳まで引き出せませんが、年金で受け取る方は「公的年金等控除」、一時金で受け取る方は「退職所得控除」が適用され、いずれも所得税が軽減されます。

【NISA/つみたてNISA】
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品(株や投資信託など)から得られる利益が非課税になる制度です。

一般とつみたてのどちらかを選択し、途中解約も可能です。ただしあくまで投資・運用ですので、メリットとデメリットのバランスを考えながら、利用を検討してみましょう。

まとめ

今の時代、住宅費も教育費も家計の大きな負担となっています。さらに老後に向けてまとまった資金を蓄えるのはかなり難しいことだといえるでしょう。退職金や年金だけに頼ろうとしていると、「思いのほか、生活が苦しい」という事態に陥ってしまう可能性も。自分の力でなんとかしなければならない時代が到来しています。

老後のライフプランを早めに想定し、できるだけ長期間貯蓄を継続したり、NISA・iDeCoなどを利用して計画的に準備していきましょう。情報収集をしながら収入・貯蓄の選択肢を広げていくことが老後資金を賢く貯めていくコツだといえます。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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