ロスジェネ世代が高齢者になる「2040年問題」の深刻さとは?
LIMO / 2020年2月15日 18時45分
ロスジェネ世代が高齢者になる「2040年問題」の深刻さとは?
「2025年問題」まであと5年、どうなる?どうする?日本
日本で急激に少子高齢化が進んでいることは、皆さんご承知のことでしょう。令和元年版「高齢社会白書」(※)によると、2018年10月1 日現在、65歳以上の総人口に占める割合(高齢化率)は28.1%、75歳以上の割合は14.2%となっています。
高齢者(65歳以上)人口と生産年齢(15〜64歳)人口の比率を見てみると、1950年には1人の高齢者を12.1人の現役世代が支えていたのに対して、2018年には2.1人 で支えているという驚愕の現状です。世界中で見ても日本の高齢化率は極めて高い水準であり、今後も高水準を維持していくことが見込まれています。
今回は、日本の少子高齢化にとって重要である「2025問題」と、「2040問題」について考えたいと思います。
「2025年問題」
2025年には、第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)になり、更に急速に高齢化が進むと見込まれています。65歳以上の割合は30%、75歳以上の割合は18%と予想されています。医療や介護の需要は今よりさらに高まり、社会保障費の大幅な増加が予測されます。
一方で、生産年齢人口は減少し、人手不足が懸念されます。特に、サービス利用が急増する医療・介護関係者の人材不足は深刻です。また世代間のバランスは更に崩れ、1人の高齢者を1.9人の現役世代で支える必要が出てきます。現役世代への負担は、ますます重くなります。
この2025年問題は、兼ねてより指摘されていました。そのため、様々な対策が議論され、地域包括ケアシステムの充実、社会保障の給付と負担の見直し、女性・高齢者の就労拡大と働き方改革、ITやロボットなどテクノロジーの活用などが推進されてきました。地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で、住まい、医療、介護、予防、生活支援などができる包括的な支援・サービス体制で、2025年を目途に進められています。
さて、2025年まで、もうわずか5年です。
「2040年問題」の本質はもっと深刻
2025年よりも更に深刻なのが、2040年問題です。2040年には、第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が高齢者(65歳以上)になり、日本の高齢者人口が約4,000万人とピークになるとされる年です。65歳以上の割合は35%、75歳以上の割合は20%と予想されています。
また、それまでの課題は「高齢者の増加」でしたが、2040年問題の大きな課題は「現役世代の急減」に局面が変化します。2040年には現役世代は約6,000万人と推定されており、1人の高齢者を1.5人の現役世代で支えることになります。世代間のバランスは更に崩れ、社会保障費の更なる増加が予測されます。
そして、2040年問題の最も特徴的な点は、高齢者になる「団塊ジュニア世代」が、決して豊かな世代ではない、ということです。
今までの高齢化問題の中心であった「団塊の世代」は、第二次世界大戦直後の1947年~1949年に生まれ、高度成長期を支え、バブルを経験した豊かな世代だといえます。正社員が多く、従って年金受給額も高く、貯蓄も多かったのです。
一方で、2040年問題の中心である「団塊ジュニア世代」は、1971年~1974年に生まれ、激しい受験戦争を経験し、バブル崩壊後の就職氷河期に就職活動をしました。いわゆる「ロスジェネ世代」にも重なります。団塊の世代に比べ、非正規雇用が多く、従って予想される年金の受給額も、貯蓄額も低くなります。また、収入が安定しないことに加え社会の変化もあり、未婚率が高く、結婚しても子供がいない夫婦が多いのも特徴です。
「団塊の世代」の多くが結婚し子供を産み第二次ベビーブームを起こしたように、「団塊ジュニア世代」が第三次ベビーブームを起こすという期待もありましたが、これは幻に終わりました。そして、日本の少子化が大きく進む結果となりました。2040年問題の本質は、単身で貧しい高齢者の比率が増えるということなのです。
2040年問題は、まだまだ議論すべき点がたくさんあります。団塊ジュニア世代の支援や、副業・兼業の促進、健康寿命の延伸、高齢者の就業機会の確保、先進テクノロジーの更なる活用など、様々な手当てが必要になるでしょう。
おわりに
高齢化が進む中で、大きな山場である2025年問題と2040年問題について考えてきました。
高齢化は日本だけに降りかかる課題ではなく、今後は、先進地域はもとより開発途上地域においても、急速に進展すると見込まれています。いち早く高齢化が進む日本の対応に、世界中が注目しているといえます。世界の先頭に立って解決に向けて議論していく必要があります。
【参考】
(※)令和元年版「高齢社会白書」(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html)内閣府
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