1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「生理の貧困」って何?生理で痛いのはお腹だけじゃない

LIMO / 2020年3月22日 18時45分

写真

「生理の貧困」って何?生理で痛いのはお腹だけじゃない

生理の話など聞きたくないかもしれませんが、最近、問題になっている「生理の貧困」
実は社会や経済にも影響を与える、だれにでも関係あることなのです。

他国では女性達が生理用品を免税、願わくば無償提供にしてほしいと訴える運動が目立つようになりました。そんななか2月末、スコットランドでは「生理用品を必要とするすべての人に無償提供」という世界初の法案が可決されました(※1)。

また、イギリスでも今月に入って、2021年1月から生理用品を非課税にすることを発表しました。日本女性の生理による経済的負担が軽くなる日はいつになるのでしょうか。

生理で痛いのはお腹だけではない、懐も痛い

多くの女性は、1カ月間のうち数日は生理による何かしらの痛みや不快感、不便さに耐えています。でも、負担はそれだけではありません。タンポンやナプキン、専用下着、買い替え下着、専用洗剤、痛み止めなど、個人差や月間差もありますが生理の為の出費もバカになりません。

2019年にスウェーデンの生理用品ブランド「Intimina」が、マーケティング会社のOnePollをとおして18~55歳のアメリカ人女性2,000人を対象に行った調査では、女性が生理用品の為に費やす金額は1カ月あたり平均13.25ドル(約1,500円)で、生理周期がある平均的な女性が12~52歳の間に生理用品の為に出費する額を合計すると約6,360ドル(約70万円)だということがわかりました(※2)。

「懐が痛い」くらいですめばいいですが、生理用品を買えない女性も世界中に大勢いるのです。そのような状況を「生理の貧困」といいます。

最近は特に女子学生の生理の貧困が様々な悪影響をもたらすことが問題視されるようになりました。これは発展途上国だけではなく、格差が広がる先進国での問題でもあり、当然日本も例外ではありません。

スコットランドの勝利の影には女性政治家の力

世界中で「生理の貧困」アウェアネス運動が広がる中、スコットランドでは生理用ナプキンやタンポンを政府が無償提供、という大胆な法案が可決しました。 スコットランドが世界で一番早くここまでたどり着けたのは、「スコットランドは女性政治家が多く、内閣の半分以上が女性、ということが理由の1つのようだ」とエコノミスト誌は指摘しています。

事の始まりは、野党で労働党の女性議員、モニカ・レノン氏が2017年8月に「生理の貧困をなくす」という法案を提出したことからです。彼女はその後熱心に推進してきました(※1)。

2017年12月、イギリスの慈善団体が行った調査で、スコットランドを含む先進国のイギリスでさえ、女子の10人に1人が生理用品の購入が出来ないという(※3)ショッキングな結果が発表されました。

これを受け2018年、2014年11月よりスコットランド初の女性首相となった、ニコラ・スタージョン氏は早速、学生の生理の貧困をなくすため、ナプキンやタンポンを学校で無償提供する施策を講じました。

政府よ、女子に投資を!

スコットランド政府は、完全無償化に2,400万ポンド(約32億円)の費用がかかるとしています。この税金の使い方に反対の人もいるかもしれません。しかし、女性への投資だと考えることもできるのではないでしょうか。

しっかりした生理用品が使えないことで学校を休む女子が多いのは、前述の調査や他の調査でも明らかになっています。毎月休んでいれば、勉強が遅れてしまい、将来的にも不利なことになり得ます。学生だけではなく、大人の女性でも仕事に支障をきたしてしまう事にもなります。

生理が女子の勉学の邪魔になったり機会を奪ってしまうことで、女性の経済的な自立を妨げたり、貧困から抜け出せない原因になってしまうのは非常に残念です。そしてそれは社会全体の損失でもあります。女性の労働力を有効に活用することは、企業や国の生産力を高め、税収入も増えるわけです。

IMFの研究記事(※4)では、政府が女性の教育や健康に投資することは大きな利益を生むことになると指摘しています。例として、ルワンダでは1994年の虐殺の後に就任したポール・カガメ大統領の女性支援策で、労働力の54%を女性が占めるようになり、ウガンダの経済を大幅に成長させ、2010~2015年の間には平均収入が2倍以上になったことを取り上げています。

「大げさだ」とか「発展途上国じゃあるまいし」と思われるかもしれませんが、最近は日本でも女性の貧困が問題視されています。特に日本では生理は「隠すべき」話題なので、貧困女性が生理で経済的にも苦しんでいることなど、表ざたになるようなことはありません。

日本が無償提供してくれるなんて遠い話かもしれません。でもせめて非課税、いや、減税でもいい。それだけでも助かる女性は多いことでしょう。

【参考】
(※1)“Free period products in Scotland(https://www.economist.com/britain/2020/02/27/free-period-products-in-scotland?utm_campaign=later-linkinbio-theeconomist&utm_content=later-5684016&utm_medium=social&utm_source=instagram)”The Economist
(※2)“The average woman spends around £5,000 on period products in a lifetime, shows study(https://metro.co.uk/2019/11/28/the-average-woman-spends-around-5000-on-period-products-in-a-lifetime-shows-study-11231543/)”METRO
(※3)“PLAN INTERNATIONAL UK'S RESEARCH ON PERIOD POVERTY AND STIGMA(https://plan-uk.org/media-centre/plan-international-uks-research-on-period-poverty-and-stigma)”Plan International UK
(※4)“Invest in Women and Prosper(https://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2017/09/bloom.htm)”International Monetary Fund

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください