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家庭と仕事の板挟み。コロナで悩む「ワーママたちの受難」

LIMO / 2020年6月28日 12時0分

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家庭と仕事の板挟み。コロナで悩む「ワーママたちの受難」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響より、働く環境に何らかの変化があった人は多いと思います。筆者の周囲では、在宅勤務への切り替えや営業自粛による自宅待機、さらには解雇や雇い止めを経験した人まで。また、誰しもが初めてとなる「自粛生活」期間では想定外のストレスを感じたという声を多く聞きます。

さて、共働き世帯が増加するこんにち、家庭と仕事の板挟みになって悩む女性は後を絶ちません。当分「感染第二波」を警戒しながらの生活が続くことが予測される中、ワーキングマザーたちが仕事を続けようと考えたとき、どのような困り事に直面するのでしょうか。

コロナで一変!?急増する共働き世帯の妻たちの苦悩

まずは、共働き世帯・専業主婦世帯の数の推移からみていきます。労働政策研究・研修機構の調査データ「専業主婦世帯と共働き世帯1980年~2019年(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)」によると、この20年間の傾向として、専業主婦世帯の減少・共働き世帯の増加がみられます。2000年あたりまではほぼ同じくらいでしたが、その後は共働き世帯数が専業主婦世帯を大きく引き離しました。その結果、2019年の共働き世帯は約1245万世帯、専業主婦世帯(約575万世帯)の2倍以上となっています。

さて、COVID-19の影響により、企業の出す求人は全般的に減っています。2020年4月の有効求人倍率は1.32倍で、4カ月連続低下。また、新規求人数(※)は前月比22.9%減。これは1963年の統計開始以来、最大の落ち込みです。また、このデータからは読み取ることはできませんが、求職者には子育て中の主婦層が一定数含まれることが考えられます。
(※)新規求人数:ハローワークが期間中に新たに受け付けた求人数(採用予定人員)

そんな中、子育て中の女性たちの仕事をめぐる事情には、新たな「悩みごと」が発生しています。感染拡大の第一波が過ぎ去ったとされる今も、“コロナ前”のワーママ生活に戻れない、次の一歩が踏み出せないままでいる、という人も多いようです。ここから先は、3人のエピソードを交えつつ、「コロナで変化したワーママ事情」について考えていきましょう。

ワーママたちは苦悩する!

ケース1「コロナで雇い止め」

Aさん(44歳)家族構成:夫・長男(高1)・長女(中2)・次男(小6)

「週4回、1日4時間だけ、コールセンターのオペレーターの仕事をしていました。4月の緊急事態宣言が出たあとは、正社員以外は出勤停止に。フルタイムのアルバイト同僚たちは「お給料の6割補償で、自宅待機」扱いだったのですが、稼働時間が少ない主婦パートたちは全員雇い止め。『経営難のため、次の契約更新はしない』、という連絡をもらいました。

人事担当いわく、『苦渋の決断だったが、生活への影響が少ないであろう“扶養枠”で働く人から辞めてもらうことになった』とのこと。確かに私は一家の大黒柱ではないけれど、月に8万円前後の私のパート代があってこそ、3人の子どもの塾や習い事代が払えていたので…。すぐに次の仕事を探さないと生活がカツカツになっちゃいます」

ケース2「求職意欲が落ちてしまった…」

Bさん(34歳)家族構成:夫・長女(中1)・次女(小3)

「次女が一人でお留守番できそうになったら、再就職すると決めていました。4月からの仕事スタートを考えて就職活動を始めたのが、コロナ流行が本格化する少し前の2月上旬。日を追うごとに、求人サイトから好都合の案件が消えていき、応募企業からの返信率ががくっと下がりました。面接までこぎつけても、『土日や夜のシフトに入れる人が優先』と言われて撃沈。

私のように、近所に親族がいない環境で子育て中の女性って、ある程度『家庭の事情』をくんでくれる会社でないと、働き続けるのは難しい気がします。子どもたちの学校が一斉休校になったのをきっかけに、いったん就活はお休みしました。学校が再開した今、そろそろ仕事を探さなければ…と思いつつ、感染リスクとか、コロナ第二波で学校が再び休校になったときのことを考えると、やる気がおきません

ママのお仕事事情、コロナ前後でどう変わった?

雇い止めにあったAさんや、仕事探しへのモチベーションが低下してしまったBさんのように、コロナ禍をきっかけに悩むワーママたちは増えています。ここで、主婦向け求人を多数扱う求人サイト『しゅふJOBパート』が主婦1000人を対象に行った「コロナ前後の求職・就業意欲変化」に関する調査結果から、興味深いものをいくつかご紹介しましょう。

●新型コロナウイルス感染拡大により仕事への影響はあったか?

休業中で仕事がない…31.2%

シフトが減らされた…27.1%

変わらない…17.9%

解雇になった…7.9%

シフトが増えた…2.7%

●新型コロナウイルス感染拡大前・後で仕事探し変化はあったか(複数回答)

仕事探しをする意欲が下がった…38.6%

電車など公共交通機関での通勤を避けて探すようになった…29.4%

今までとは違う職種で仕事を探すようになった…28.6%

今の仕事で収入が不足しているので、副業やダブルワークを探すようになった…28.3%

人と接点が多い仕事を避けるようになった…22.2%

出典「主婦1000人に緊急アンケート!”自粛期間前後で求職・就業意欲はどう変わった?”(http://www.bstylegroup.co.jp/news/press/news-20214/)」しゅふJOBパート

世帯によっては妻の収入が家計にダイレクトに影響を与えることも。感染リスクや子育て面での不安があっても「働かなければ家計が火の車!」。そんな状況で、収入ダウンや、職探しがうまくいかないことへのジレンマに悩むママが多いということが垣間見られた気がします。次では、「家庭と仕事の両立」を語る上で、最近注目されている「在宅勤務」を経験したママの声を聞いてみましょう。

在宅勤務は甘くない!

COVID-19感染拡大をきっかけに「在宅勤務」をとりいれる企業が増えました。小さい子どもだけでお留守番させる必要もなく、感染症対策面でも有望であることは確かです。今後は仕事を選ぶうえで、「在宅での仕事が可能かどうか」を基準に挙げる人も増えていくことでしょう。

家事・育児との両立がしやすいイメージがある「在宅勤務」。しかし、コロナ禍で実際に在宅勤務を経験したCさんは、予想外にキツかった様子を教えてくれました。

ケース3「子ども3人抱えてテレワーク」

Cさん(39歳)家族構成:夫・長女(小3)・長男/次女(保育園年中の双子)

「職場結婚だったので、夫とは同じ会社です。コロナが流行り始めた2月半ば、会社が在宅勤務を推奨する方針を決めました。自宅での環境整備が整ったころ、長女の学校が休校措置に。私はリビングで仕事をしながら、長女の宿題の面倒をみる毎日が始まりました。

ここまでは、まあ、想定内でしたね。大変なのはその後です。

ほどなくして、双子の通う保育園から『パパ・ママ両方が在宅勤務であれば、自宅保育をお願いしたい』と打診が。次女が喘息持ちだったので、家族全員の感染リスクなども考えた結果、二人とも保育園をお休みさせることに。お姉ちゃんに双子の遊び相手を頼んで乗り切るつもりでしたが、そんなに甘くはありませんでしたね。

結局、家事育児と、会社の業務を同時に進行させなければなりませんでした。1日3 食の準備に、頻繁に話しかけてくる子どもの相手。オンライ会議には、双子がケンカしながら乱入してきたことも…。集中力が散漫になり、仕事のクオリティが落ちてしまいました。子どもが寝た後に仕事をすると、睡眠不足で次の日がキツくて。

なによりムカムカするのは、私と同様に在宅勤務となった夫です。私が髪を振り乱して仕事・家事・育児を回している間、書斎にこもり、自分の業務だけを粛々とこなしているのだから。ずるい!

夫婦二人とも自宅で仕事をするようになった家庭も多かったと思います。筆者の周囲では、「テレワークを甘く見ていた」という声を多く聞きました。一見、ワークライフバランスがとりやすい印象もありますが、オン・オフの切り替えに悩んだり、Cさんのように、夫婦のどちらか一人が負担を感じたりするケースが多い、というのが実状のようです。

まとめ

3人のワーママの声、「私と同じ!」と共感してくださった人も多いのではないかと思います。緊急事態宣言は全国的に解除され、徐々に“コロナ前”の日常生活に戻りつつあるものの、COVID-19の感染第二波に警戒しながらの生活はまだしばらく続きます。

既婚女性、とりわけ小さいお子さんがいるママの場合、どうしても家庭の事情を中心に動かざるを得ないケースが多いわけです。仕事と家庭の板挟みになり悩む彼女たち。その負担を少しでも軽くするのは、やはり、家族、特にパートナーの理解が必要不可欠です。また同時に、ワーママ自身が、ワークライフバランスや健康面に気をつけて、自分を大切にしながら働くという意識を持っていくことが必要であるのではないか、と筆者は考えます。

【参考】
「専業主婦世帯と共働き世帯・1980年~2019年(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)」労働政策研究・研修機構
「一般職業紹介状況(令和2年4月分)について(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00037.html)」厚生労働省
「主婦1000人に緊急アンケート!”自粛期間前後で求職・就業意欲はどう変わった?”(https://www.bstylegroup.co.jp/news/press/news-20214/) 」しゅふJOBパート

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