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課長の割合は、会社員と地方公務員でどう違う?~それぞれの出世事情を比較~

LIMO / 2020年7月23日 17時45分

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課長の割合は、会社員と地方公務員でどう違う?~それぞれの出世事情を比較~

「会社員と地方公務員では、どちらが出世しやすいの?」と思っている人もいるのではないでしょうか。課長は、出世街道の第1歩ともいえる役職です。

そこで、”課長比率”という指標を使って、会社員と地方公務員の出世事情をチェックしてみましょう。”課長比率”とは、労働者全体に占める課長の割合です。

会社員なら40代から課長になれる?

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_19_p286-299.pdf)(JILPT)の「ユースフル労働統計2019」によると、従業員数100人以上の民間企業の”課長比率”は学歴によって大きく異なります。

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民間企業の学歴・年齢階級別の課長比率(JILPTの資料をもとに編集部作成)

このデータは、JILPTが厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとにして算出した数字です。

大学・大学院卒の場合、”課長比率”は45~49歳および50~54歳で20%を超えています。一方、高卒の”課長比率”は、もっとも割合が高い50~54歳でも10%以下です。

ちなみに、会社員でもっとも”部長比率”が高い年代は55~59歳ですが、大学・大学院卒で17.3%、高卒で3.8%と大きな学歴差が生じています。

地方公務員が課長になれるのは50代になってから?

つぎに、地方公務員の”課長比率”についてご紹介します。

地方公務員の一般行政職(正規雇用)は2018年時点で約85万人です。所属する自治体の区分によって都道府県や市町村、指定都市(政令指定都市)、特別区(東京23区)などに分類できます。もっとも人数が多いのは市の約35万人で、都道府県は約26万人、指定都市は約10万人となっています。

以下では、地方公務員の一般行政職の課長比率を団体区分別・学歴別・年齢別にみていきます。

都道府県の”課長比率”

はじめに、都道府県一般職の”課長比率”について見ていきます。

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都道府県の学歴・年齢階級別課長比率(総務省の資料をもとに編集部作成)

都道府県の”課長比率”がもっとも高い年代は56~59歳で、大卒では39.54%、高卒では20.53%となっています。大卒の場合、52~55歳の”課長比率”は33%を超えており、50歳前後の課長も1割強ほど存在するようです。

指定都市の”課長比率”

つぎに、指定都市の”課長比率”を紹介します。

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指定都市の学歴・年齢階級別課長比率(総務省の資料をもとに編集部作成)

指定都市の”課長比率”は、大卒と高卒で様相が異なります。大卒の場合、”課長比率”がもっとも高い年代は52~55歳で、32.66%に上ります。都道府県とは異なり、48~51歳でも”課長比率”が2割を超えています。一方、高卒で”課長比率”がもっとも高いのは56~59歳です。

市の”課長比率”

さいごに、市の”課長比率”をチェックします。

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市の学歴・年齢階級別課長比率(総務省の資料をもとに編集部作成)

地方公務員の一般行政職でもっとも人数が多い市では、高卒の課長も少なくないようです。”課長比率”がもっとも多い年代は、大卒では52~55歳、高卒では56~59歳です。56~59歳の”課長比率” は、大卒と高卒がほぼ同じ水準です。

地方公務員では50代前後に出世して課長になるケースが多いようです。高卒の場合、50歳以前に課長になるハードルが上がります。地方公務員は会社員と比べると課長になれる年代は高めですが、50代の課長比率は高くなっています。「ある一定の年齢になれば課長になれる人が多い」ともいえるでしょう。

とはいえ、年功序列の文化が根強い公務員の社会では、ポストが空かなければ出世ができないというケースもままあります。会社員でも同じですが、地方公務員も想像以上にハードな競争社会なのかもしれませんね。

地方公務員で加速する非正規化

出世による昇給が難しかったとしても、高卒や女性でも安定した立場や収入が見込める点は地方公務員の魅力です。一方、地方自治体の財政悪化や多様な働き方に対するニーズの高まりによって、地方公務員に占める臨時・非常勤職員の数は増加の一途をたどっています。

2018年に総務省が作成した資料(※)(http://www.gender.go.jp/kaigi/kento/koumu/siryo/pdf/3-4.pdf)によると、地方公務員の臨時・非常勤職員は全国で約65万人に上り、うち約4分の3が女性です。臨時・非常勤職員は立場が不安定で正規雇用よりも給料が低いだけでなく、期末手当の対象外でした。

2017年に地方自治体法および地方自治法が改正され、一般職の非常勤職員「会計年度任用職員」が新設されました。任用期間は1年間で期末手当の支給対象になりますが、実際に支給するかどうかは地方自治体の裁量にかかっています。

民間企業では年功序列や終身雇用制度が崩壊しつつあり、2020年からは同一労働同一賃金がスタートします。実力が重視される傾向は、今後ますます強まっていくでしょう。会社員でも地方公務員でも、出世するのはそう簡単なことではないようです。

参考

「ユースフル労働統計2019 ―労働統計加工指標集―(19. 役職関連指標)(289ページ目)」(http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_19_p286-299.pdf)JILPT
「平成30年地方公務員給与の実態」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/h30_kyuuyo_1.html)総務省
(※)「地方公務員の臨時・非常勤制度について」(http://www.gender.go.jp/kaigi/kento/koumu/siryo/pdf/3-4.pdf)総務省
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案の概要」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000472093.pdf)総務省
「同一労働同一賃金特集ページ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html)厚生労働省
「地方公務員の給料は、どれくらい?」(http://limo.media/articles/-/17864)LIMO

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