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「1億円」老後に必要でも、普通のサラリーマンなら大丈夫!?

LIMO / 2020年7月26日 20時0分

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「1億円」老後に必要でも、普通のサラリーマンなら大丈夫!?

「老後資金は1億円必要だが、普通のサラリーマンは何とかなる」と筆者(塚崎公義)は考えています。

老後資金は1億円必要と考えよう

老後不安を掻き立てるような話が世の中に満ち溢れています。昨年も金融庁の「老後資金2000万円報告書」が話題を集め、不安に感じた読者も多かったことでしょう。

しかし、同報告書が出る前から、老後資金は1億円必要だ、と言う人は大勢いました。そして、それは多分その通りです。60歳女性の平均余命は30年近いので、平均より少し長生きをしても大丈夫なように92歳までの老後資金を用意するとしましょう。

夫婦2人の生活費を毎月25万円とすると、年間300万円、32年間で9600万円必要です。それに万が一に備えての手元資金400万円を加えると、1億円必要だということになるわけです。400万円は、何事もなければ相続財産となり、葬儀代等に使われることになるはずですから、これも老後資金の一部だと言って良いでしょう。

これを聞いて「自分は1億円も持っていない」と焦る人も多いと思いますが、心配無用です。今の高齢者で現役時代に1億円持っていた人はほとんどいないでしょうが、みんな何とか暮らしていますから。特にサラリーマンは、普通は何とかなりますから、安心しましょう。

サラリーマンは年金が充実している

標準的なサラリーマンは、20歳から60歳まで働いて妻が専業主婦の場合で、夫婦合計して毎月22万円程度の公的年金が65歳から受け取れます。生活できない金額ではありませんね。

ささやかな贅沢を楽しむために毎月3万円ずつ蓄えを取り崩すとして、30年間強で1100万、万が一に備えての手元資金400万円を加えても、1500万円あれば大丈夫、という計算になります。

普通のサラリーマンは相応の退職金をもらえるでしょうし、人によるでしょうが多少は親からの遺産も入るかもしれません。そう考えると、「60歳で定年になってから65歳で年金を受け取り始めるまでの生活費さえ働いて稼げば、何とかなりそうだ」という気がしてくるでしょう。

定年退職の前日時点で、住宅ローンの残高と金融資産の残高が等しければ、つまりネット金融資産がゼロであれば、老後資金は何とかなるのです。今は幸い労働力不足ですから、60歳から65歳まで働いて生活資金を稼ぐことは(新型コロナ不況が終わった後であれば)比較的容易でしょうから。

過度な懸念は不要だが、備えあれば憂いなし

上記のように、普通のサラリーマンの老後資金は何とかなるはずですので、過度な懸念は不要でしょう。ただ、リスクはありますので、備えがあるに越したことはありません。

リスクの第一は、長生きとインフレでしょう。長生きは良いことですが、老後資金のことだけを考えればリスクです。多額の貯金があっても予想以上に長生きをしている間に蓄えが底をつく可能性があるからです。

長生きと並んで怖いのが、インフレです。日本人の多くは老後の蓄えのほとんどを銀行預金で持っているので、インフレが来て銀行預金が目減りしてしまったら大変です。したがって、資産の一部をインフレに強いドルや株などに分散投資しておくことも要検討でしょう。

最悪は長生きしている間にインフレが来ることですね。その意味でも、公的年金は非常に心強い存在です。どれだけ長生きしても最後までしっかり払ってくれますし、インフレが来れば原則としてその分だけ支給額が増えるということです。長生きとインフレのリスクに非常に強いのです。

長生きとインフレを恐れるという観点から、筆者は持ち家派です。老後、借家に住むとして、予想以上に長生きしている間にインフレで家賃が上がってしまうと、老後資金が底をついてしまうリスクが高いですから。

公的年金が減っていくリスクを心配している読者は多いでしょう。公的年金の基本は、現役世代が高齢者を支えるシステムなので、少子高齢化には弱いのです。そこで、少子高齢化が止まらなければ高齢者が受け取る年金が少しずつ減っていくことが予想されます。

もっとも、「年金が受け取れなくなる」といったことはないでしょうから、そのあたりも過度な懸念は不要です。支給額が多少減ったとしても、今の高齢者は元気ですから、70歳くらいまで働いて稼げば老後の生活は何とかなるはずです。

もちろん、事情があって働けない人や収入が少ない人もいるでしょうから、そうした人には政府の支援が必要でしょうが、普通のサラリーマンは何とかなる、ということはぜひ覚えておいてほしいと思います。

老後不安を煽って投資商品を売りつけよう、という業者も多いようなので、気をつけましょう。

自営業者は自分で老後に備える必要

自営業者は、サラリーマンに比べて公的年金が見劣りします。夫婦2人の合計で最大でも月額13万円程度しか受け取れません。しかも、退職金もありませんから、老後資金は自分でしっかり確保する必要があります。

しかし一方で、自営業者には定年がありませんから、何歳になっても元気な間は働いて収入を得ることが可能です。最近の高齢者は元気ですから、70歳を過ぎても元気に働いている自営業者も大勢います。

自営業者にとっての老後を「仕事をやめてから死ぬまで」と考えれば、どんなに長生きしても長く働けば良いのですから、健康に留意して長く働きましょう。

ただ、いつまで働けるかわからないので、若い時から貯蓄に励む必要性はサラリーマンより高いでしょう。その意味では、iDeCoの掛け金の限度額がサラリーマンより多くなっている等々、自営業者が優遇されている面もありますので、そうした制度はしっかり利用したいものです。

本稿は以上です。今回は老後資金の大枠だけでしたが、細部については折を見てLIMOに寄稿して行きたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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