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「住宅ローン控除」と「繰上返済」、どちらを優先するべき?

LIMO / 2020年8月28日 18時45分

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「住宅ローン控除」と「繰上返済」、どちらを優先するべき?

住宅ローンの繰上返済は、返済期間が短くなることによって、利息の負担が減らすことができます。しかし、住宅ローン控除との兼ね合いで、いつ行ったらいいのかタイミングに悩む人は多いのではないでしょうか。

そこで、繰上返済を有効に行うための適切なタイミングを検証してみたいと思います。また、家計とのバランスを考えた無理のない返済についてもお伝えします。

「繰上返済」と「住宅ローン控除」どちらを優先したらいい?

繰上返済には返済期間を短縮する「期間短縮型」と返済額を軽減する「返済額軽減型」があります。期間短縮型の方が、利息軽減効果が大きく、繰上返済を効果的に行うためには、期間短縮型を選んだ方がよいでしょう。

また、繰上返済は、返済額(借入残高)が大きいほど効果があるため、早い時期に行った方が利息軽減効果が大きくなります。そこで問題になるのが、「住宅ローン控除」です。

住宅ローン控除は、借入期間が10年以上の住宅ローンを利用して、一定の住宅を新築、購入、または増改築した場合に、その住宅に入居した年以降の一定期間、所得税が控除される制度です。

控除される期間は、入居した時期によって異なり、消費税10%で住宅を取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合は13年間、それ以後の2021年1月1日から2021年12月31日までは10年間となっています。控除される金額の上限額は、年末の借入残高×1%(上限40万円)となっており、残高が多いほど控除額が多くなることがわかります。

そのため、住宅ローン控除の適用時期に繰上返済をしてしまうと、本来受けられる控除が減ることになります。一方で、繰上返済をして期間を短縮すれば、その期間の利息を払わずに済みます。つまり、控除が減る分と、利息が減る分の大きさを比較し、適切なタイミングを見つければいいわけです。

繰上返済のパターンでシミュレーション

実際にシミュレーションをしてみましょう。

前提条件として、3,000万円の借入れ、返済期間35年、全期間固定金利1.3%(2020年8月のフラット35の金利参照)、繰上返済の額1,000万円(期間短縮型)とし、住宅ローン控除は10年間全額控除されるものとします。

以下の3つのパターンを比較してみましょう。

    繰上返済をしない場合

    毎年100万円ずつ10年間繰上返済をした場合

    10年後に1,000万円まとめて繰上返済をした場合

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拡大する(/mwimgs/e/4/-/img_e4b402ccd3ebaeda2187a42b524c2b7d16586.png)

金利1.3%の繰上返済シミュレーション(筆者作成)

金利1.3%の場合、ローン開始1年目から毎年100万円ずつ10年間繰上返済した方が、10年後の住宅ローン控除が終了した後にまとめて繰上返済するよりもお得であることがわかりました。これは、住宅ローン控除の節税効果よりも、繰上返済の利息軽減効果の方が大きかったことが理由です。住宅ローン控除は年末の借入残高×1%であり、利息はそれよりも大きい1.3%であることから判断できますね。

それでは、金利が0.7%であった場合はどうでしょうか。前提条件を同じにして、金利のみ0.7%に変更してシミュレーションをしてみました。

(/mwimgs/b/2/-/img_b28fa7c14de6835bebd62aaa3c473ad616745.png)

拡大する(/mwimgs/b/2/-/img_b28fa7c14de6835bebd62aaa3c473ad616745.png)

金利0.7%の繰上返済シミュレーション(筆者作成)

金利0.7%では、当初から毎年100万円ずつ10年間繰上返済をするよりも、10年後にまとめて繰上返済をする方がお得であることがわかりました。このように金利が低い場合は、住宅ローン控除を優先した方がいい場合があります。

実際は繰上返済の手数料や借入額、所得によっても変わってくるので、この通りにはならないと思いますが、おおまかな目安として金利が1%より高いか低いかで判断ができそうです。

家計とのバランスを考える

一般的に無理のない住宅ローンの返済比率は年収の20%と言われています。返済比率とは年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合を言います。

住宅ローンの借入時に金融機関が設定する借入限度額の基準としても用いられています。民間の住宅ローンの返済比率は25%~40%となっており、年収が高いほど比率が高くなりますが、これはあくまでも、借りられる額の限度額です。まずは、住宅ローンを組む時に返済比率を20%以下とすることを意識しておけば、住宅ローンによって家計が圧迫されることは少なくなるでしょう。

ただ、実際には年収の20%以内の返済比率の住宅ローンを組んだとしても、長い返済期間の中では、支出が多くなる時期や収入が減ってしまう時期もあります。その時は家計のバランスを優先しましょう。

住宅ローンの返済額と管理費や修繕費などの住居関連費用をまとめて「住居費」とした場合、支出の25%程度が理想的です。この割合を保ちながら、収支の増減の調整は余剰資金の「貯蓄」で行います。

「貯蓄」は収入の10%を基準としましょう。

子育て期間や教育費がかかる時期は貯蓄の割合を少し下げてもいいでしょう。しかし5%以下には下げないようにしましょう。家計に余裕が出てきたら貯蓄の割合を増やしていき、貯蓄が10%を超えたら繰上返済を考えてみましょう。

その場合も、金利が低ければ、住宅ローン控除を優先して、終了後に一気に繰上返済する方法が有効な場合があるので、その時までしっかり貯めておきましょう。

住宅ローンの返済は長期に渡ります。ライフプランに沿った無理のない返済を心掛けたいものですね。

参考

「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm)国税庁
「住宅借入金等特別控除の仕組み」(https://www.shiruporuto.jp/public/house/tax/syotoku/syotoku011.html)知るぽると(金融広報中央委員会)
「Q. 住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?」(https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/myhome/4376/)一般社団法人 全国銀行協会
「ローン借入金額目安表 返済シミュレーション」(https://www.stepon.co.jp/jutaku_loan/simulation.html)住友不動産販売

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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