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保育所が「多すぎる」時代に?2025年で児童数ピーク

LIMO / 2021年6月6日 11時35分

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保育所が「多すぎる」時代に?2025年で児童数ピーク

厚生労働省が2021年5月26日に開催した検討会で、保育所の利用児童数が2025年にピークを迎える」との推計を公表しました。

「保育所に入れない子どもが多い」大きな社会問題とされている待機児童問題ですが、2025年には逆に保育所が過剰となる時代が到来するかもしれません。

そこで今回は保育所が、なぜ2025年でピークを迎えるのかについて解説していきます。

女性就業率は2025年で80%に

それでは、厚生労働省が公表した「保育所の利用児童数の今後の見込み」「保育所等関連状況取りまとめ」をもとに、保育所の利用児童数について見ていきます。【表】をご覧ください。

(/mwimgs/f/b/-/img_fb801029f733101be18f81e49119a9aa172112.png)

拡大する(/mwimgs/f/b/-/img_fb801029f733101be18f81e49119a9aa172112.png)

【出典】厚生労働省「保育を取り巻く状況について」(2021年5月26日)

保育所の利用児童数は平成25年に約222万人、平成31年には約268万人となっており、約46万人増加しています。

同期間の25~44歳の女性の就業率も見てみましょう。平成25年には70%程度の就業率が、平成31年には77.7%と大きく伸びています。

当然のことですが、女性の就業率が高くなるにつれ、保育所の利用児童数は増加している現状がわかります。保育園の数が足りなくなれば、とうぜん待機児童が増えます。

このことをふまえて考えると、令和7年には女性の就業率が82.0%になり、その後も緩やかに上昇していますので、利用児童数が増加すると予想されるはずです。

女性の就業率は今後も伸びる見込みに対して、なぜ2025年(令和7年)に利用児童数がピークを迎えるのでしょうか。

女性就業率の上昇よりも少子化が「速い」

なぜ2025年に利用児童数がピークを迎えるのか。端的に言うと、「女性就業率の上昇スピードよりも、少子化の速度が早いため」です。

再度、前述の表を見てみますと、平成25年の0~5歳人口は634万人でしたが、平成31年には585万人でした。令和7年には530万人になると推計されており、少子化はますます加速していくことが見込まれています。

また、足元の数字も見てみます。

厚生労働省が2021年5月26日に公表した「妊娠届出数の状況」によると、令和2年1~12 月の累計妊娠届出数は 87万2227 件であり、前年同期間の 91万6590 件と比較すると 4.8%減で、過去最小を更新しました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、出産・子育てへの不安から減少したと見られます。少子化は今後も進んでいくと見られます。

妊娠届は前年比-4.8%。-17.6%の月も

それでは、令和2年度の妊娠届の数を月ごとでチェックしていきます。

令和2年度 月別の妊娠届出数 ※カッコ内は前年同月比

1月:8万2835件(-1.4%)
2月:7万1498件(-4.3%)
3月:7万8372件(3.9%)
4月:7万5578件(-0.3%)
5月:6万7321件(-17.6%)
6月:6万6736件(-5.8%)
7月:6万9349件(-10.8%)
8月:6万8337件(-6.2%)
9月:7万1669件(-1.2%)
10月:7万4973件(-6.6%)
11月:6万9804件(-4.8%)
12月:7万5755件(-1.8%)

合計87万2227件(-4.8%)

3月以外はすべて前年同月比を下回りました。特に5月と7月は下げ幅が大きくなっています。緊急事態宣言があった月の前後で減少が大きくなっていることから、やはりコロナ禍の影響が大きいと見られます。

保育士の有効求人倍率は全職種の2倍

女性の加速する就業率、また近年の社会状況から、少子化が早いペースで進んでいる状況について見てきました。

それでは、保育園で実際に働く保育士をめぐる就業状況についても見ていきましょう。有効求人倍率をベースにチェックしていきます。

有効求人倍率とは
求職者1人あたりに対して、何件の求人があるのかを表す指標。一般的に求人倍率が高いと、企業がより多くの働き手を求めていることになります。労働市場において、需要と供給のバランスがどうなっているかを測る指標のひとつです。

厚生労働省によると、2020年3月の全職種の有効求人倍率は1.12。これに対して、保育士は2.67と、実に2倍以上の差があります。保育士の担い手は足りていないことがわかります。

保育士はなぜ足りていないのでしょうか。東京都福祉保健局の「東京都保育士実態調査」より、過去に保育士として働いていた職場の退職理由(複数回答)を調べてみると、下記の結果がでています。

職場の人間関係…38%

仕事料が多い…27.7%

給料が安い…27.4%

労働時間が長い…25.3%

保育現場の労働環境をめぐる問題については、ニュースでも取り上げられることが多いトピックですので、よくご存知の方も多いと思いますが、やはり働く上での環境、条件面の問題により退職をしてしまう方もいらっしゃるようです。

施設の縮小、人材確保など総合的な解決策が必要

女性の就業率が上昇しているにもかかわらず、保育所が「過剰」になる原因は、加速化する少子化であることがおわかりいただけたかと思います。

一方で、保育園数は充足する可能性が高くても、そこで働く保育士の労働環境が以前として厳しく、ハード面とソフト面のアンバランスさが見えかくれしている現状がわかりました。

保育所などの施設は今後縮小するなどの対応が必要になるでしょうし、保育士が安心して長く働ける環境を整え、現場の保育士の数を増やせる施策も必要ではないでしょうか。

子どもをのぞむ方が安心して子どもを出産し、育てられる社会にしていく必要があります。

参考資料

厚生労働省「保育を取り巻く状況について」(http://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf)

東京都福祉保健局「平成30年度東京都保育士実態調査報告書 調査結果詳細」(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shikaku/30hoikushichousa.files/430chosakekkashosai.pdf)

厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)」を公表します」令和2年9月4日(https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000678692.pdf)

厚生労働省「令和2年度の妊娠届出数の状況について」(http://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000784662.pdf)

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