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退職金4000万円上乗せはトクなのか? 早期退職のメリット・デメリットを徹底解説!

LIMO / 2021年6月24日 18時55分

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退職金4000万円上乗せはトクなのか? 早期退職のメリット・デメリットを徹底解説!

2021年5月17日、ダイヤモンドオンラインが「パナソニック『退職金4000万円上乗せ』で50歳標的の壮絶リストラ【スクープ】」と題した記事を報じました。また、住宅設備大手のLIXILや、カシオ計算機、オリンパスも早期退職者を募集しており、業界を問わず早期退職者を募っているような状況です。

いずれの企業も、通常の退職金とは別に「特別退職金」を出すとして早期退職者を募集しているため、窓際に追いやられているようなベテラン社員にとっては転職のチャンスになるかもしれません。

しかし、特別な手当がもらえるからといって、早期退職をすることが本当に賢い選択なのでしょうか? もしあなたが40代~50代のサラリーマンであれば、定年まで勤め上げるのが得なのか? それとも早期退職をして第二の人生を歩むのが得なのか? お悩みの方も多いと思います。

そこで今回は、早期退職のメリットとデメリットについて詳しく解説します。この記事をご覧いただければ、早期退職が本当にお得なのか、また、早期退職をすべきでない人の特徴も分かるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

70歳までの定年延長が、働かないおじさん社員を殺す

まずは、早期退職者に対して4000万円の割増金を支払うと報じられたパナソニックの例を見ていきましょう。パナソニックの早期退職制度の中身は、社内的には「特別キャリアデザインプログラム」と言うようで、社員の転職をバックアップするという内容になっています。

このように言うと聞こえは良いですが、実際は人員削減の一貫であると私は考えています。たとえ4000万円の上積みという破格の大判振る舞いをしたとしても、定年まで社員が働いた場合のコストと比べれば遥かに安上がりだからです。

早期退職制度が広まっている背景としては、コロナ禍で企業業績が不振だという理由もありますが、企業の雇用(努力)義務が65歳から70歳に引き上げられたことへの影響が最も大きいと思います。2021年4月から「高年齢者雇用安定法」の改正法が施行されており、70歳までの就業機会を確保することが企業に求められているのです。

従来の日本型の雇用制度では、大抵の場合40歳前後で出世コースが決まりますので、出世コースから外れた過半数の社員は、定年までの時間を「消化試合」として勤めることが決定的になってしまいます。

そこへさらに定年が伸びるとなれば、いわゆる「窓際族」と呼ばれる働かないおじさん社員に、企業は1000万円を超える高い年収を払い続けなくてはなりません。そう考えると、企業側が「退職金の他に4000万円を支払ってでも、今すぐ辞めてもらいたい!」と思うのは当然と言えるかもしれません。

 割増退職金をもらって早期退職するのは本当におトク?

内閣府の調査によると、60歳になる前に会社を辞めたいと考えている人は約25.7%、すなわち4人に1人は60歳になる前に会社を辞めたいと考えているということになります。そんな時に会社側から「退職金の他に4000万円をあげるから、今すぐ会社を辞めない?」などという提案をされたら、誰もがグラつくのではないでしょうか?

ここで、50歳前後のサラリーマンが割増退職金をもらい、転職活動をして第二の人生を探すというのは本当に得なのか、試算してみましょう。

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の会社都合の退職金は大卒・大学院卒の場合で2000万円強となっています。これに加え、パナソニックのように4000万円の割増退職金が支払われることになれば、恐らく総額にして約6000万円もの退職金が一度に手に入ることになります。

しかし、実際には所得税が差し引かれますから、退職所得控除等があったとしても1000万円ほどの税金が引かれることになり、手取り額は5000万円前後になると思います。5000万円と聞くとかなりの額のように思えますが、実際どうなのでしょうか? 

厚生労働省の「平成30年雇用動向調査 結果の概況」によると、転職して給料がアップするのは約3人に1人。一方、転職者の約3割は給料の減額に甘んじながら転職をしているというのです。

仮に運良く同じ給料で転職できたとしても、結果が出なければ1年で給料はガクッと下げられてしまい、すぐに退職に追い込まれてしまう・・・などということは珍しくありません。

ここで、年収1000万円の人が50歳で早期退職をした場合としなかった場合のシミュレーションをしてみましょう(図表1参照)。

図表1:年収1000万円の人が50歳で早期退職をした場合としなかった場合のシミュレーション

(/mwimgs/b/c/-/img_bc1b49b11578cf3a08d8f6a2955c490e124965.jpg)

拡大する(/mwimgs/b/c/-/img_bc1b49b11578cf3a08d8f6a2955c490e124965.jpg)

早期退職しなかった場合

50歳から60歳までで1億円を稼ぎ、その後は段階的に給料を減らしながらも70歳まで勤め上げたとすると、50歳からの20年間でざっと1億4000万円を稼げることになります。そこへ退職金が2800万円(税引前3000万円)とすると、合計で1億6800万円ほど稼ぐことができるという試算になります。

早期退職して転職した場合

前述のように、50歳前後の一般的な退職金2000万円に4000万円を上乗せした退職金が計6000万円。ここから税金1000万円が引かれて、実際に手にする金額は5000万円程度。

仮に、新しい会社ではこれまでの半分の給料で60歳まで勤務し、その後段階的に給料を減らしながらも70歳まで勤め上げたとすると、50歳からの20年間でざっと9000万円を稼げることになります。

早期退職した会社の退職金5000万円と合わせると、合計で1億4000万円ほど稼ぐことができるという試算になりますから、転職をしない方がお得ということになりますね。給料がいくら上がるかもわからない転職をすることは、リスクでしかないようにも思えてしまいます。

一方、会社側としては、70歳まで社員を雇用することの人件費をどのように考えているのでしょうか?

会社側としては、50歳~70歳までで合計2億円ほどの人件費を見込んでいると思います。そう考えると、たとえ退職金を6000万円支払ったとしても、20年スパンで見れば、1億4000万円もの経費削減ができたということになります。

つまり、戦力外になってしまったおじさんたちを雇い続けるよりも、若い人材を雇った方が、会社にとって遥かに効率が良いというわけです。こう考えると、特別退職金の誘いに乗せられてホイホイと会社を辞めてしまうのはとても危険なことだと思います。

転職する、しないの判断基準は?

とはいえ、窓際に追いやられ、毎日を消化試合として過ごすよりも、自分を必要としてくれる会社に転職したい!独立したい!と考える方も多いと思います。

もちろん、転職や起業をして失敗するとは限りませんし、人生の選択肢が広がるケースもあるでしょう。それでも、会社を辞めて転職するかどうか、起業するかどうかは、本当に慎重に考えた方が良いと私は思います。

なぜなら、新卒から30年間、同じ会社で働いてきたサラリーマンが50歳を超えて脱サラするのは、生まれてからずっと動物園で飼われてきたライオンが、いきなりサバンナの野生に戻されるのと同じようなものだからです。

実際、転職をすると今まで自分が活躍できたのは大企業の看板があったからで、自分の実力ではなかったと思い知らされることも多いようです。つまり、アラフィフの起業や転職は、もう一度30代に戻って同じ苦労をするくらいの覚悟がないと、かなりキツイということです。

仮にその気力があったとしても若い頃と比べれば体力も落ちていますし、子供たちにもお金がかかる年頃ですから、なかなか冒険をすることもできないでしょう。

では、転職するか、しないかの基準は、どのようにして判断すべきなのでしょうか?

転職をしても大丈夫なケース

まず、転職をしても大丈夫なケースとしては、自分のスキルを十分に活かせるケースが挙げられます。たとえば、あなたが経理や財務のスキルを持っているとすれば、成長段階の企業に必要な人材となれる可能性は高いと思います。また、専門領域の研究職なども重宝がられると思います。

もう1つは、不動産投資などで純資産が1億円を超えている場合も転職はOKだと思います。退職金で一気に繰り上げ返済をすればすぐにFIRE(経済的自立によるアーリーリタイア)ができますし、転職して給料が減ったとしても、家賃収入があるので大きなダメージにはなりません。

このように、前職の看板に頼るのではなく、あなたに特殊なスキルがあるとか、副収入があるのであれば転職は全然アリだと思います。ちなみに筆者も不動産投資でアーリーリタイアを実体験。その経験と知識をYouTubeチャンネル「ウラケン不動産(https://www.youtube.com/%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%82%B1%E3%83%B3%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3-%E6%B5%A6%E7%94%B0%E5%81%A5%E5%85%AC%E5%BC%8F)」でお伝えしていますので、ご興味があれば覗いてみてください。

転職をしない方がいいケース

一方、大企業の看板をバックに仕事をしてきたような人は、転職をしない方が良いと言えるでしょう。先ほども言ったとおり、動物園のライオンが野生に返されるのと同じようなものです。どうしても…という場合でも、相当慎重になる必要があるでしょう。

転職しない方がいいもう1つのケースとしては、転職をして給料が下がるのが嫌だと考えている場合です。転職した人のうち3分の1は給料が減っているというデータがあるように、50歳のサラリーマンが転職をして給料が上がることは稀だと思います。

そもそも転職をして給料が上がるような人であれば、今の会社で既に出世しているでしょうし、ましてや窓際に追いやられることなんてないはずです。もし転職をして終身雇用の枠を外れてしまえば、そこは完全な実力社会になりますので、ほんの少しでも不安があるのであれば転職はすべきではないと思います。

仮にあなたのキャリアを買われて転職したとしても、結果が出なければ再度リストラされるリスクもあります。極端な話、前職の3倍のスピードで働ける覚悟と体力がないなら、転職はしない方が良いでしょう。

おわりに

もしもあなたが今の会社で出世コースを歩んでいるのなら、そのまま今の会社に留まった方が良いというのは言わずもがなだと思います。

しかし、今までお伝えしてきたように、今の段階で出世コースから外れていて、退職すれば割増退職金がもらえる場合であったとしても、大半の人にとっては今の職場で頑張った方が幸せになれる可能性が高いのです。

ただ、そうは言っても、「今の会社にしがみついて、何の未来もないまま働くのはちょっと・・・」と思われる方も多いと思います。そんな方に私が提案したいのは、サラリーマンという属性を活かして不動産投資を始めてみることです。

会社に残るにしても辞めるにしても、10年先のことなんて誰もわからない時代ですから、どうなっても生きていけるように副業だけは持っておいた方が良いと思います。副業は色々ありますが、不動産投資は、初心者であってもきっちり勉強すれば誰でもお金持ちになれる稀有な投資法です。

意外に思われるかもしれませんが、不動産投資は「不動産実務検定(https://www.j-rec.or.jp/)」などで体系的に学ぶことができます。私も不動産投資を長年やってきたおかげで、今は好きな仕事だけをして生活できていますので、やはり不動産投資は一考に値すると考えています。

参考資料

平成30年就労条件総合調査 結果の概況「退職給付(一時金・年金)の支給実態」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf)(厚生労働省)

平成30年雇用動向調査 結果の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf)(厚生労働省)

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