60歳「貯蓄100万円未満」が25%…老後が不安な共働き世帯3つの事情
LIMO / 2021年8月7日 19時15分
60歳「貯蓄100万円未満」が25%…老後が不安な共働き世帯3つの事情
PGF生命が今年4月に行った「2021年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によると、今年60歳になる人たちの平均貯蓄額は3026万円でした。しかし、その分布を見ると「100万円未満」と回答した人は25.0%(図表1参照)。
4人に1人が貯蓄金額100万円未満という結果に驚きつつも、実際なかなかうまく貯蓄ができないという人も少なくないはず。そして、それは共働きでも同じようです。今回は共働き世帯に聞いた老後生活への不安を紹介し、老後に向けた準備について考えます。
課題の「老後資金」問題はどうする?
まずは老後資金問題です。老後の生活に必要なお金をどう貯めるか、そもそもいくら貯めればよいのか…。こうしたことについて考えないことには、この問題と向き合うことはできません。
「老後2000万円問題」が世間を騒がせたことで、「とにかく2000万円必要なのだ」と思っている人も多いかもしれませんが、現実はもっと複雑です。
たとえば、50代神奈川県在住のAさんは「老後2000万円が必要だなんて、あくまで一般論に過ぎない。人によって生活水準や家のローンの完済時期、退職金の金額、持病の有無、年金受給額が全部違うワケだから鵜呑みにできない」と警戒しているようです。
Aさん夫婦は共働きですが、子どもの教育費に惜しみなくお金を使い、自分たちの老後資金のことを考慮してこなかったと言います。
「共働きだからと気が大きくなっていた面もあるのかもしれない。子どもは3人とも大学進学、そのうち2人は私立大学で学費をサポートしてきたから、まとまった金額を貯められているわけではない。まだ家のローンもあるし、老後が不安」と話します。
Aさんは今の職場で定年後も継続雇用してもらえそうですが、今のところ妻は継続雇用を希望しておらず、定年後をどう過ごすか検討中なのだそう。定年後、いかに長く収入を得るかが老後のやりくりに与える影響は大きいので、ここは慎重に検討したほうがよさそうです。
老後の住まいをどこにするか?
一方、老後の支出を考えるうえで大きなポイントとなるのが、どこに暮らすかということです。
50代東京在住のBさんは「夫婦2人だけで暮らしていくにしても、どちらかが要介護状態になったらもう一方が介護するのか、それとも子どもに介護してもらうのか。また、夫婦2人で高齢者向け施設に入るのか。2人とも働いているから老後もなんとかなるだろうと、何も具体的なことは考えないままここまで来てしまった」と話します。
Bさんの友人の中には、何かあったときに不安だからと老後は持ち家を売りに出し、そのお金で子どもの家の近くにマンションを買って住み替えるという人もいるのだそう。ただ、もしそうするのであれば、住宅ローンの返済、家の査定、住み替えるマンションの費用などについて慎重に調べ、考えなければなりません。
また、高齢者向け施設に入るにしても入居費用の工面ができるかという問題があります。Bさん夫婦は長く共働きだったようですが、妻であるBさん自身は契約社員としてのキャリアが長く、現状では退職金は期待できないと言います。
「高齢者施設の入居費用についてもっと早くチェックしておくべきだった。4つ年上の夫の定年後に改めて高齢者施設のパンフレットを眺めてみたけれど、予想以上に高額な入居費用が必要だった。長男とは結婚に反対してから疎遠になったし、長女も九州で暮らしているから何かあったときにどうすればいいのか」と肩を落としていました。
共働きといえども、雇用形態や勤務先の規定によって退職金がないケースもあるため、そのことを考慮した老後資金計画を立てることが必要になってきます。
離婚を考えているが不安もある
60代東京在住のCさんは、熟年離婚を考えているのだそうです。というのは、「自分は一応、定年まで正社員として働いてきた。若い頃は夫の女性関係に泣かされてきたが、世間の目もあって離婚を切り出せなかった」から。
「子どもができてからは多少落ち着いたけれど、今になって過去に散々泣かされたことを思い出して夫に優しく接することができない。いまさら夫とどう過ごせばいいかわからない」と話します。
幸い、長く正社員だったCさんにはある程度の貯蓄があり、2人の子どもたちも既に家庭を持っているため経済面での不安はさほどないようです。
「ただ、一つ心配なのは自分に何かあったとき。子どもたちにもし介護をお願いしなければならない状況になったら、夫と私が別に住んでいるのは不便なのではないか、余計な負担をかけるのではないかという迷いもある」とのこと。
Cさんがこうして色々と考えている一方、夫の立場だと急に離婚を切り出されるわけですから老後のライフプランに大きな影響が出てくるでしょう。あまり考えたくないことかもしれませんが、自分の老後についてはさまざまな状況を想定しておく必要もありそうです。
おわりに
今回は50代、60代の共働き世帯に聞いた話を紹介しました。老後の暮らしをどう考えるのか、老後どのようにお金を使っていくのかというのは非常に大きな課題です。
人生100年時代と言われる今、60歳や65歳で定年を迎えた後の時間は長いものがあります。なるべく早いうちから老後の計画を立て、時間経過とともに自分の状況や社会環境の変化に合わせて調整をしていくことが重要なのではないでしょうか。
参考資料
2021年の還暦人(かんれきびと)に関する調査(https://www.pgf-life.co.jp/company/research/2021/001.html#m06)(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)
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