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「成長志向」の高い40代が急増中。オジサン達がやる気になった理由

LIMO / 2021年8月22日 20時15分

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「成長志向」の高い40代が急増中。オジサン達がやる気になった理由

今回は“40代論"です。筆者はその世代を卒業してしまいましたが、社会的にも社内的にも、なにかと大変な10年間ですよね。個人的には、以前と比較しても、さらに大変になっている気もします。

最近、発表された興味深いデータとして、40代で「成長志向=働くことを通じた成長を重視する」が急増しているという報告があります。なにが40代をやる気にさせているのか、ちょっと考えてみましょう。

成長志向に変化、40代が急にやる気に

今年(2021年)7月、パーソル総合研究所から「働く10,000人 成長実態調査2021」が発表されました。

これは、人々の働き方や仕事観、仕事を通じた成長に関する実態調査を毎年、全国の働く10,000人を対象に実施しているものです(以下データの出典:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」)。

まず全体結果として「成長志向(働くことを通じた成長が重要と思う)」は82.3%(前年比0.9ポイントアップ)。「成長実感(過去1年間で仕事を通じた成長を実感した)」は56.1%(前年比0.4ポイントアップ)。

上記のなかで2021年の大きなポイントは40代の成長志向の急上昇です。40代の成長志向は82.1%(前年比2.2ポイントアップ)。ちなみに30代は81.3%(前年比0.9ポイントマイナス)。つまり今年になって、40代の成長志向が30代の成長志向を追い抜いたことになります。

40代の2.2ポイントアップというのは、20代の2.3ポイントアップに次いで2番目です。20代の成長志向は82.1%ですから、40代の成長志向は20代と同数値ということになります。

個人的には「信じられん調査結果だな」と、ちょっと唸ってしまいました。

なにが40代をやる気にさせたのか

なぜ急に40代がやる気になったのか・・・ここからは個人的所感です。多くの理由があるとは思うのですが、やはり雇用環境が変化していて、さらに言えば激変の予感がしているからではないでしょうか。

一例をあげると、大企業を中心にした早期退職プログラムの進行。少し前の早期退職のイメージは“赤字企業で対象は50歳以上"といった感じでしたが、近年は大きく変わってきています。最近は黒字企業でも実施していますし、対象年齢も40代が含まれるケースが増加しています。

5年ほど前に一時期、転職サイトのライターをしていたのですが、その時の印象として“40代は動かない"というイメージを個人的には持っていました。

たとえば、少数ですがベンチャー系で新事業部ができて、事業部長直下の“サブマネージャー/40代募集"というような案件もあるのですが、期待される40代応募はごく少数で、50代が多いという傾向が強い。

家庭を持っている40代の場合、晩婚化が進んでいる現在では、お子さんは小学生というケースも多いと思います。そのような中で、40代のマインドは“じっとしている方が良い/動かない方が良い"なのでは・・・そんな印象を当時、持っていたものです。

ただ、この40代のマインドが変わりつつあるのかもしれませんね。雇用情勢の変化で、“じっとしていると、これは自滅するぞ"という危機感に変化し始めているのではという感じも、ちょっとしました。

「リスキリング」というキーワード

“40代のやる気"を企業・行政側から見てみます。最近のキーワードとして「リスキリング(学び直し)」という言葉があります。

リスキリングとは、新しいスキル・能力・知識を身につけていくことの総称です。先日、8月11日の日経の一面でも“成長のカギ「学び直し」"という見出しで取り上げられていました。

このワードが日本で一定の認知を獲得したのは、2019年3月に公表された「IT人材需給に関する調査(経済産業省委託事業)」だと言われています。

いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と関連したワードでもありますが、もう少し幅広く解釈してもよいと思います。そして、ご想像の通り、日本発のワードではなく海外で先行しているトレンドです。

リスキリングの定義を経産省サイトの資料から引用すると以下になります。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」。

海外の事例を見てみましょう。有名どころとしては、米アマゾンが従業員10万人を2025年までにリスキリングすると発表しています(一人当たり投資額は約75万円)。

具体的には、非技術系人材を技術職に移行させる「アマゾン・テクニカル・アカデミー」、IT系エンジニアがAI等の高度スキルを獲得するための「マシン・ラーニング・ユニバーシティ」などがメニューとしてあげられています。

ジョブ型雇用に対応する人材育成

次に日本の事例です。日立製作所では国内グループ企業の全社員約16万人を対象に、DX基礎教育を実施。三菱商事では2020年8月に「IT・デジタル研修」を新設。所属、年次年齢を問わず希望者が対象で、同年9月にはオンライン講座で延べ1000人が受講しています。

さて、“40代のやる気"の話に戻ります。やはり、リスキリングといった企業・行政側の動向が40代のやる気に影響を与えていることは間違いないでしょう。「人は自発的にやる気になるなんて、ほとんどない。外的要因がすべて」と個人的には思っていますし。

では、最終的に一体、どこへ向かっているのか。もちろん、そんなことは誰にも分かりませんし、単なる予想にすぎませんが、行きつく先は“ジョブ型雇用"だと考えています。

日本ではジョブ型雇用の導入に際して「ジョブディスクリプション(職務記述書)」の作成が大変だと言われていますが、これが実はオカシイと思っています。要は職務をキチンと定義していないから書けないだけではという気がします。

乱暴に言ってしまえば、DX時代のジョブディスクリプションの内容は、その7~8割は業務ごとにテンプレ的になってきて、残りを各企業が個別作成するイメージではないでしょうか。

そして、そのテンプレ的な新しい汎用性のあるスキル実現を目指して、リスキリングが進行しているという見立てを持っています。

昨年末発表された経産省のDXレポート2でも、DXを実現する環境づくりにおける重要な要素として、ジョブ型雇用とリカレント教育(生涯学習)が強調されていました。ただ、新卒一括採用という絶望的な高い壁が存在する日本において、教育と就業を繰り返すリカレント教育なんて“絵に描いた餅"にすぎないでしょう。

リスキリングによって生まれ変わるかもしれない40代。そのガンバリに注目です。

参考資料

働く10,000人 成長実態調査2021(https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/spe/pgs2021/)(2021年7月6日、パーソル総合研究所)

リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf)(2021年2月26日、経済産業省)

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