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世界で最も持続可能な企業に選ばれた仏シュナイダーのサステイナビリティ戦略とは

LIMO / 2021年10月31日 19時0分

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世界で最も持続可能な企業に選ばれた仏シュナイダーのサステイナビリティ戦略とは

カナダの調査会社であるコーポレートナイツ社が発表した「世界で最も持続可能な企業100社」で第1位を飾った仏電機メーカーのシュナイダーエレクトリック(以下、シュナイダー)。日本では馴染みのない方も多いかもしれませんが、今回はシュナイダーの2021年10月27日に発表された第3四半期の業績発表資料とともにESG戦略やSDGsへの取り組みについてまとめています。

「世界で最も持続可能な企業100社」の第1位に選ばれたシュナイダーのサステイナビリティ戦略とは

最近では企業活動の持続可能性について話題に上ることも多いですが、実際には事業活動とESGやSDGsのサステイナビリティとの内容を上手に関連付けて説明することは難しいと考える現場の方は多いのではないでしょうか。

今回は「世界で最も持続可能な企業」に選出されたシュナイダーのサステイナブル戦略について、同社の「Schneider Sustainability Impact 2021-2025 program」をもとにその内容についてみていきます。

6つの長期コミットメント

シュナイダーは以下のような6つの長期コミットメントを掲げています。

    「クライメート・ポジティブ」な世界へのために行動する(Act for a climate positive world)

    資源を効率的に活用する(Be efficient with resources)

    信頼の原則に従って行動する(Live up to our principles of trust)

    平等の機会を作る(Create equal opportunities)

    すべての世代の力を活用する(Harness the power of all generations)

    ローカルコミュニティに力を与える(Empower local communities)

そして、6つのそれぞれのコミットメントはSDGsでの関係するゴール(全部で17)とも結びつけられており、2025年までの目標とする数値とともに開示をされています。

第1のコミットメント「Act for a climate positive world」

まず、第一のコミットメントですが、2025年までに「環境対応の売上高(green revenue)を80%」「二酸化炭素排出量の節減を2018年比で8億トン」「トップ1000のサプライヤーにおける二酸化炭素排出量を50%削減」という目標を立てており、クライメート・ポジティブに対しては自社の目標だけではなく、関係するサプライヤーにもその範囲はおよび、環境対応ができないサプライヤーは見直しに対象になると推測もできます。

2021年第3四半期決算における環境対応の売上高は70%、二酸化炭素排出量の節減は3億1900万トン、トップ1000のサプライヤーへの二酸化炭素排出削減プログラムは進行中とのこと。

また、同コミットメントにおけるSDGsの関連ゴールは7、9、11、13、17が紐づけられています(各ゴールに関しては文末の【参考】をご確認下さい)。

第2のコミットメント「Be efficient with resources」

同コミットメントでは、2025年までに「製品における環境対応素材の使用比率を50%」「1次及び2次パッケージにおいて1回しか使わないプラスティックは使用せず、リサイクルされたボール紙を利用する」という目標を立てています。

自社製品に含まれる環境対応素材へまでの意識と、製品をパッケージする際の物流における環境への配慮を目標としています。

2021年第3四半期決算における環境対応素材の使用率は1%、パッケージにおける環境対応は12%となっています。

また、同コミットメントのSDGsの関連ゴールの6、7、12、14、15が紐づけられています。

第3のコミットメント「Live up to our principles of trust」

同コミットメントでは、2025年までに「戦略的サプライヤーの100%が従業員に対してILOの定義に沿った『人間としてやりがいがあり、また適切な仕事』を提供する」「自社で従業員の私たちの信頼の原則に対しての行動を報告するために信用度を計測します」という目標を立てています。

2021年第3四半期決算における戦略的サプライヤーでの対応については現在進行中。加えて、信頼度の計測は、ベースラインの81%から変化なしとなっています。

また、同コミットメントのSDGsの関連ゴールは、3、8、12、16、17が紐づけられています。

第4のコミットメント「Create equal opportunities」

同コミットメントでは、2025年までに「採用時、第一線のマネージャー、リーダーシップチームの性別の(女性)比率をそれぞれ50%、40%、30%にする」「2005年比で5000万人が再生可能エネルギーにアクセスできるようにする」という目標を立てています。

2021年第3四半期決算におけるジェンダー比率においては、42%、27%、26%となっています。加えて再生可能エネルギーのアクセスは3280万人となっています。

また、同コミットメントのSDGsの関連ゴールは、1、2、5、7、8、10が紐づけられています。

第5のコミットメント「Harness the power of all generations」

同コミットメントでは、2025年までに「インターンシップ、アプレンティスシップや新卒採用を2倍にする」「経済的に恵まれていない100万人のエネルギーマネジメントにおける研修」という目標を立てています。

2021年第3四半期決算におけるインターンシップ、アプレンティスシップや新卒採用は、1.25倍、エネルギーマネジメントでの研修数は30万9883人となっています。

また、同コミットメントのSDGsの関連ゴールは、1、4、8、10、17が紐づけられています。

第6のコミットメント「Empower local communities」

同コミットメントでは、「すべてのカントリーゾーンの社長により、3つのローカルコミットメントを私たちのサステイナビリティ変革に沿ってそれぞれのコミュニティに対してより貢献できるようにするために行う」という目標を立てています。

2021年第3四半期決算における上記目標は100%の達成率となっています。

また、同コミットメントのSDGsの関連ゴールは、11、17が紐づけられています。

シュナイダーのサステイナビリティ戦略のコア

ここまでシュナイダーのサステイナビリティ戦略についてみてきました。

その中から、同社のサステイナビリティにおける戦略、つまり同社が他社に対して競争優位を確立するポイントは、同社のサステイナビリティの考え方を自社の事業に関する部分だけではなく、サプライヤー企業に対してもコミットメントを出しているということやコミュニティにも及んでいることといえそうです。

こうした視点は一見すると、日本人からするとこれまではスコープ外、ややもすれば越権行為のような印象も受けますが、現在のサステイナブルな企業活動という観点からはステークホルダーすべてを巻き込んでいく姿勢というのが評価されているといえそうです。

加えて、ここまで見てきたように、社内だけではなく、社外に対しても数字をもってコミットメント、つまり約束をしていくという姿勢が評価されているといえるでしょう。

こうした数字は現時点では、シュナイダーが自分たちで設定した数字であり、過去よりは改善しているという比較でしかないのですが、今後はこうした改善が社会に対してどれくらいインパクトがあるのか、また自社の企業価値に対してどれくらい貢献するのか、また多謝比較、同一産業内比較といった視点も出てくることでしょう。

もっとも、事業会社ごとに事情は異なるのは当然ですから、一様に比較するのは難しいということはありますが、今後サステイナブル戦略という名のもとに、産業ごとにベンチマークというような必ず意識しなければならない基準も確立される可能性もあり、早期に対応し、基準を創り上げられるような企業が有利なポジションを確立する可能性もあります。

今後はこうした視点を持ち合わせて企業ごとのサステイナブル戦略、投資家向けのESG戦略説明、企業としてのSDGs活動を分析していく必要がありそうです。

【参考】SDGsの17の目標

1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

参考資料

コーポレートナイツ「2021 Global 100 ranking」(https://www.corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2021-global-100-rankings/2021-global-100-ranking/)

Schneider「Schneider Sustainability Impact 2021-2025 program」(https://www.se.com/ww/en/about-us/investor-relations/)

外務省「JAPAN SDGs Action Platform」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)

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