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あさましい相続トラブルを起こさないために、知っておきたい「遺言」

LIMO / 2018年4月12日 21時20分

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あさましい相続トラブルを起こさないために、知っておきたい「遺言」

家庭裁判所の遺産分割事件は増加の一途

「遺言の日」は年3回ある!?

4月15日は「遺言の日」とされています。これは、「良(4)い、遺言(15)」ということで、近畿弁護士会連合会が1998年に記念行事を開催したことが始まりです。その後、2007年度から日本弁護士連合会の主催行事が行われています。

一方、公益財団法人日本財団は1月5日を「遺言の日」として日本記念日協会に登録しており、さらに、金融業界は11月15日を「いい遺言の日」と制定しています。

こうなると、どれが本当の「遺言の日」なのか分からなくなりますが、どの団体や業界も遺言の重要性を説いている点は共通しています。実際、近年になって、遺言の重要性や必要性は非常に注目されているのです。

遺言とは、“財産の活用法を定めた意思表示”

ところで、「遺言」とは何でしょうか?

広義の意味においては、故人が生前に自らの死後のために遺した言葉や文章を指すと言われますが、現在では民法上の制度に鑑みて「自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です」(出所:日本公証人連合会)とされています。

なお、ここから先は、「遺言=遺言書を残す」とします。

故人が残した財産は「相続」によって引き継がれる

全ての人は、いつか必ず最期を迎えますが、ほとんどの場合、何らかの財産(注:負債を含む)を残します。そして、その財産は「相続」という手続きにより、法定相続人(妻子など)に受け継がれていきます。

その際、残した財産は民法で定められた「法定相続分」に沿って分割されるのが基本です。これを「遺産分割」と言います。なお、相続は放棄することができますが、ここでは詳細は省略します。

親族間での遺産相続トラブルも

ところが、この遺産分割はなかなかスムーズには行かず、親族間でトラブルになることが珍しくありません。

たとえば、“私は老後の世話をしたからもっと多いはずだ”、“自宅をもらえる約束をしていた”など、相続人の主張が対立して、民法で定めた「法定相続分」が形骸化しつつあるのが実情です。それがエスカレートすると、親族間で訴訟になったり、最悪の場合は殺人事件になったりもします。

何ともあさましい話ですが、血を分けた親族でも、お金にかかわるトラブルは後を絶ちません。しかし、これが現実なのです。故人が嘆き悲しんでいる姿が思い浮かんできます。

家庭裁判所で扱う遺産分割事件は13年間で約4割増

直近の統計データではありませんが、「平成24年度司法統計」(最高裁判所)によると、家庭裁判所への相続関係の相談件数は、 この10年で約1.9倍に増加しているようです(平成24年は約17万5千件)。

また、遺産分割事件の件数(家事調停・審判) も、平成14年の9,148件が13年後の平成27年には12,615件に増加しており、過去最高となりました。平成28年はやや減少して12,188件となりましたが、高水準であることに変わりありません。

ちなみに、1985年(昭和60年)は約5,100件だったと見られることからも、遺産相続に係るトラブルが増加の一途を辿っていることがわかります。

遺言は厳格に定められた様式の“文章”しか認められない

そこで、前述したように、自らが生前に遺産分割の内容や方法を、法律で定められた様式に従って、文章として残しておくのが遺言です。ここで重要な点は、

法律で定められた様式である

文章にする

という2点です。録音テープや動画は全て無効ですし、原則的にメールも無効です。ましてや、口約束など論外なのです。

遺言は法定相続より最優先されるが、一定の制約はある

最大のポイントは、前出の民法で定められた「法定相続」よりも、「遺言」が優先されることです。最優先されるのが遺言なのです。

もちろん、最優先と言っても、一定の制約があります。たとえば、妻子を残して亡くなった夫が“財産は全て愛人に渡してくれ”という遺言を残していた場合、残った家族はたまったものではありません。

そのため、法定相続人(この場合なら妻子)には「遺留分」という最低限度の相続分が認められていますので、減殺請求することで確保することができます。ただ、こうした極端な場合を除けば、原則、遺言が最優先されることになっています。

“内縁関係”の状況にあるならば遺言は必要不可欠

ほとんどの人は、自分がいつ最期を迎えるかわかりませんが、ある日突然やってくる可能性があります。その時に、残された家族が無用な遺産争いをしないように、遺言書を残すことは真剣に考える価値があると言えましょう。

特に、何らかの事情により、正式な婚姻関係にない配偶者がいる方(いわゆる内縁関係)は、遺言書を残すことは必要不可欠と考えられます。このような内縁関係の場合、遺言がなければ、内縁の配偶者は法定相続人とは認められず、財産分割の主張はほぼ認められないからです。

15歳以上なら誰でも遺言を残すことができる

遺言書は、その様式が厳格に定められていますが、代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」は、比較的簡単な手続きで作成できます。公正証書遺言は作成に多少費用を要しますが、公証役場で原本が保管されるので安全・確実と言えます。

実は、民法では満15歳以上なら誰でも遺言書を作成できることになっています。いつ訪れるかわからない自らの最期に備えて、そして、見苦しい遺産相続争いを避けるためにも、改めて遺言の重要性を考えてみたいものです。

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