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8月雇用統計は好調予想!しかし、この状況はいつまで続くのか?

トウシル / 2018年9月5日 8時4分

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8月雇用統計は好調予想!しかし、この状況はいつまで続くのか?

 9月7日発表の米国の8月雇用統計は、失業率がさらに低下して3.8%になる一方、NFP(非農業部門雇用者数)は+19.1万人に大きく増加、また平均労働賃金は前月比+0.2%という予想になっています。(表-1)

表-1 過去3ヵ月の推移と今回の予想値

※矢印は、前月からの変化

 

 前回7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者の増加が事前予想より約4万人少ない15.7万人という結果に終わりました。ただ内容を見ると雇用減は教育部門が中心。米国の学校が夏休みシーズンに入ったことによる季節的要因にすぎず、9月になって新学期が始まれば回復するとみられています。トレンドとしての米雇用市場の強さに揺らぎはありません。実際、今年の雇用者の増加は、7月の落ち込み分を含めても月平均で21.5万人に上ります。このペースは2017年の17.7万人や2016年の18.2万人を上回っています。(表-2)

 7月の雇用統計で目を引いたのは、製造業の雇用が3万7,000人増加したこと。製造業部門は過去1年で急速に雇用が増え、伸び率としても20年ぶりのハイペースとなっています。中間選挙を控えたトランプ米大統領にとっては、経済政策の成果をアピールする絶好の材料になるでしょう。もっとも、気を良くして貿易戦争をさらにエスカレートさせる危険性もあります。

 米国の経済全体に目を向けると、第2四半期のGDP(国内総生産)は前期比年率で4.1%に拡大(前回2.2%)しています。米国経済は強く、それを反映して雇用市場も拡大。その事実を確認するのが今回の雇用統計というわけです。

 問題はこの良い状態がいつまで続くのか、ということです。貿易戦争の影響で第4四半期の米経済はブレーキがかかると指摘するエコノミストも増えています。製造業で雇用を増やしたところの多くは新興企業といわれています。小さな会社は材料コスト上昇に耐える力が弱く、高関税の影響で事業を継続できなくなるリスクが高まりつつあります。

 8月の平均時給の予想は前月比0.2%。(表-3)7月は予想を上回る前月比0.3%の上昇でした。労働賃金が上がっているのは良いことですが、上昇率がまだインフレ率に追いついていないため、労働者の実質賃金は減っているとの指摘があります。

 8月の雇用統計は、全体として強い結果が期待できそうですが、不安の種が全くないというわけではありません。今後の推移を見守る必要があるでしょう。

(荒地 潤)

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