日経平均は連日の高値更新。2万4,000円超えの現実度と注意点

トウシル / 2019年11月11日 13時40分

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日経平均は連日の高値更新。2万4,000円超えの現実度と注意点

日経平均は強い値動き。この流れは今週も続きそう

 先週末11月8日(金)の日経平均株価終値は2万3,391円となりました。週足ベースでは5週連続の上昇で、その上げ幅(前週末終値比)は541円と比較的大きかった他、週を通じて節目の2万3,000円台乗せをキープしつつ、連日で年初来高値を更新するなど、値動き自体はかなり強かったと言えます。

 このように日経平均の株価水準がさらに切り上がった格好になりましたが、その背景には米中関係の改善期待が大きく影響しています。

 まずは「先日の米中閣僚級会合での一部合意から交渉が進展している」との観測報道を受けて、週初の5日(火)に2万3,000円台に乗せ、その後も中国商務省が「段階的な関税撤回で合意した」と発表したことで上値を試しに行く動きとなりました。さらに、先週末にミニSQ(オプション取引およびmini先物取引)が控えていたことによる需給的な要因も株価の押し上げに一役買ったと思われます。

 そこで、まずはいつもの通り日経平均の日足チャートで足元の状況から確認していきます(下の図1)。

■(図1)日経平均(週足)の動き(2019年11月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均の値動きをローソク足でたどっていくと、目立っているのは週初5日(火)に空けた「窓」による一段高と、週末8日(金)の大きな陰線です。特に週末に出現した陰線が気になるところですが、この陰線の4本値を細かく見ていくと、始値が2万3,550円、高値が2万3,591円、安値が2万3,313円、終値が2万3,391円です。

 先ほども触れた通り、この日はミニSQ日でSQ値は2万3,637円でした。つまり、8日(金)の取引時間中に一度もこの値段に届いておらず、いわゆる「幻のSQ値」になっています。

 今週の早い段階でこのSQ値を上抜けることができないと下方向への意識が強まってしまうことも考えられるのですが、週末の先物取引市場の終値が大取で2万3,450円、CME(シカゴ)で2万3,475円と上昇で終えていますので、SQ値超えのハードルはさほど高くはなさそうです。

 したがって、今週の値動きの予想レンジは引き続き25日移動平均線を基準としたエンベロープが目安になります(図2)。

■(図2)日経平均のエンベロープ(25日MA基準)(2019年11月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 直近までの値動きが継続し、+3%~+6%の範囲内で動くというのがメインシナリオで、株価が下がった際には25日移動平均線が下値のメドとなるのがサブシナリオです。

2万4,000円台乗せは「突破しなくてはいけない壁」?

 次に、前回も紹介した日経平均の値幅予測の計算についても振り返ってみます。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年11月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 値幅予測の計算方法についての細かい説明は前回のレポートに譲りますが、底を打った8月下旬から9月半ばの戻り高値までの値幅と、9月の戻り高値から10月上旬までの押し目までの値幅の2つを使って、V計算値(2万3,234円)、N計算値(2万3,358円)、そしてE計算値(2万4,337円)を算出しました。

 足元の日経平均はすでにV計算値とN計算値を超えており、次の目標はE計算値の2万4,000円台乗せになるわけですが、この値は2018年10月の高値(2万4,448円)の水準近くでもあります。現時点の株価からすると、まだちょっと距離がある感じですが、実は中長期的に株価が上昇していくには「突破しなくてはならない壁」になるかもしれません。

当面は強気スタンスが吉

■(図4)日経平均(週足)の動き(2019年11月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4で期間の長い週足チャートをチェックしてみると、足元の株価上昇は2018年1月と10月で形成された「ダブルトップ」の株価水準に向けて動き始めているように見えます。そのため、上抜けできずに失速してしまうと、今度は「トリプルトップ」の形成が意識されることになるため、株価下落の圧力が強まる可能性があります。以前にも紹介したことがある「株価を持ち上げてドスンと下げる」のシナリオが復活してくるわけです。

 そのため、トリプルトップ形成を回避するには、最近の株価上昇のピッチが早すぎと言われても、過熱感が指摘されたとしても、勢いを持続させて2018年10月の高値を超えなければなりません。

 日経平均が戻り基調に入り始めた8月下旬以降、当レポートでは「基本は上方向への意識だが、いつ下落してもおかしくはない」と毎回のように指摘し続けているうちに、日経平均は2万円台の前半から3,000円近く上昇してきました。

 まさに「相場は不安の崖をよじ登る」格好だったわけですが、さすがにここまで株価が上昇してくると、持たざるリスクへの意識をはじめ、乗り遅れてしまったが今からでも間に合うかなどのように、強気の見方が多数派になってきています。そして、日経平均2万5,000円台乗せを予想する声も聞こえてくるようになりました。

 確かに、各国の金融緩和スタンスをはじめ、米中関係の改善期待とそれに伴う景気・企業業績の回復期待、需給を根拠にした株高観測などは株価を上昇させる材料としては十分です。ただし、先行きの楽観をどんどん織り込んでいくほどの力強さと比べて、実際の状況とのバランスを保っているかと言われれば微妙な面があります。

 先週の日経平均2万3,000円台乗せのきっかけとなった米中関係については、その後に米国側が「第一段階の合意」を否定する姿勢を見せるなど、状況は相変わらずフラフラしていますし、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和(利下げと隠れQE[量的緩和])にしても、株高時に行っていますので、通常の金融政策のセオリーからすると異例です。また、世界景気についても、半導体の売上高やOECD(経済協力開発機構)景気先行指数、中国の経済指標などから底打ちの兆しが見えつつありますが、その後の回復力が弱いまま低迷が続いてしまうことも考えられます。

 そのため、リクツにこだわってしまうと「もうそろそろ天井だろう」という意識が働きやすくなります。実際に、こうした意識はさほど積み上らない裁定買い残や、異常なまでのダブルインバース型ETFの信用買い残の増加などの形になって表れています。

 今から相場に乗るのはかなり勇気がいるかと思いますが、買いにくい相場ほど意外と続いてしまうものでもありますし、今後、株価が下落に転じるとしても、その前に「もう一花咲かせる」可能性は高そうなので、当面は強気で良いかと思います。むしろ、難しいのはこれから買うことではなく、手仕舞いのタイミングと下がり始めた時に買いを入れる判断になりそうです。

(土信田 雅之)

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